生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
今回は、梅雨入り前の5月頃から7月にかけて痛みが出る方が多い「関節リウマチ」について解説し、この時期を乗り切るためのポイントをご紹介します。
日本では約70~80万人もの患者がいるといわれています。「リウマチ」という言葉の語源は、ギリシャ語で「流れる」という意味で、脳から出た悪い液がたまって関節が痛むと考えられていました。現在では、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊されて関節の機能は失われ、放っておくと関節が変形してしまう病気です。
長く研究をされていますが、現在もはっきりした原因がわかっていません。しかし、自己免疫疾患だといわれており、ウイルスや細菌などの異物から体を守るための免疫システムに異常が生じ、誤って自分の体を攻撃してしまっていると考えられています。関節を包む膜(滑膜)に炎症が起こり、だんだんと厚みを増し、滑膜内の水分量が増すことで腫れや痛み、悪化すると関節の変形を起こしてしまいます。
腫れや激しい痛みを伴い、関節を動かさなくても痛みが生じます。その他、発熱しやすかったり疲れやすさなど全身症状が起こることがあります。
以下の項目のうち、該当するものがいくつかある場合は、医師にみてもらいましょう。
症状には、個人差が大きく天気に関わらず問題なく過ごしている方もいますが、梅雨の時期や台風前など低気圧が近づくと症状が出てくる方が多いという報告もあります。
梅雨の時期や台風前になると湿気が多くなります。出来るだけ室内の湿度が上がり過ぎないように、室内ではエアコンの除湿機能を活用してみましょう。さらに、服装は、通気性や吸湿性のよいコットン生地などの、さらっとしたゆったりめの服がおすすめです。
お湯は少しぬるめの38~40℃程度で10~20分ほど湯舟に浸かりましょう。熱感がなければ温めるとよいとされています。入浴は、体を温め、適度な水圧がかかるため血液の循環を良くし、筋肉や精神的にもリラックスしやすくしてくれます。さらに、好きな香りの入浴剤などを使ってみるのもおすすめです。ただし、長風呂はかえって疲れてしまうので、痛みが強いときは短時間で済ませるようにしましょう。
体を動かすと痛いからといって、動かさないでいると炎症がおさまったときに、関節に変形が出たり、固まったりして力が入らなくなります。特に、筋肉がやわらかくなった入浴後に運動すると、痛みが軽いので勧めします。ただし、熱があるときや、極端に痛みや腫れがひどいときは、安静にしていましょう。
湿気の多い時期は何かと疲れも出やすくなるため、疲労回復のためにも質のよい睡眠が取れるように意識してみましょう。入浴でしっかりと血行を良くして、寝る前30分程度はゆっくりと深呼吸や足裏のストレッチなどをして、ゆっくりと体温をさましていきましょう。ゆっくりと体温が下がっていくことで、眠気が誘発されやすくなるといわれています。
痛みで手足を使わなくなると、筋肉が衰えて、関節が動きにくくなったりと機能障害を起こしやすくなってしまいます。そ予防のためにもできる範囲で毎日少しずつ体操を取り入れてみましょう。
足首におもりをつけてやってみましょう。