生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
「三寒四温」という四字熟語があるように、暦の上では春となりましたが温かさと寒さが交差する日々が続いていますね。みなさま体調など崩されていないでしょうか?
前回に引き続き、今回は、身近な体の不調の『めまい』をテーマにめまいの症状とその原因や悪化させる要因、そして、意識して取り入れたい栄養素について解説をしていきます。
「めまい」とは、自分や周囲が動いていないのに動いているように感じる不快な状態をさします。私たちの体は「耳からの情報」、「目からの情報」、「皮膚感覚」の情報の3つを脳が総合的に判断して体のバランスを保っています。ところが、様々な要因により、このバランスを保つ機能に障害が起きている状態がめまいなのです。
めまいの代表的な3つのタイプについてご説明します。
自分は動いていないにも関わらず、自分自身や周囲の天井、壁などがぐるぐると回っているように感じられる感覚があります。このタイプの場合には、耳に原因があることが多く、気圧の影響も考えられます。
そして、最も多い原因は耳の一番奥の「内耳(ないじ)」と呼ばれる部分の機能異常によるものです。内耳は、聴覚に関わる「蝸牛(かぎゅう)」と平衡感覚を司る「前庭(ぜんてい)」、「三半規管」の3つの部分から構成されており、これらのどこかに異常をきたすと耳鳴りやグルグルと回転するような強いめまいの症状を引き起こすことがあります。有名なものに、メニエール病、良性発作性頭位めまい症などが挙げられます。
体がフワフワと浮くような感覚で姿勢を保つのが難しく、真っすぐに歩くことが出来なかったり、乗り物酔いのような症状があります。このタイプの場合は、過度なストレスや睡眠不足などによる「心因性によるもの」や「ウイルス感染」によるもの、「脳の異常」によって引き起こされるものなどがあります。
原因の一つである脳の異常とは、脳内の血流不足、脳幹の機能低下、脳卒中などが該当し、ひどい場合には意識障害を起こしたり、ろれつが回らなくなってしまう、身体の麻痺などを伴う場合もあります。
目の前が暗くなるような感覚やふわっとなり意識が遠くなる立ちくらみの症状があります。このタイプの場合には、自律神経の乱れや不整脈、起立性低血圧、貧血、心不全など循環器系の異常による血流低下によって起こります。原因が分からず急に失神する場合には、循環器内科などに相談してください。
めまいの症状は、気温の変化や気圧の変化が起こりやすい季節の変わり目の3月、6~7月、9月ごろ特に起こりやすいといわれています。季節の変わり目は気温の変化が激しく、服装で調整したとしても、自律神経での体温調整が追い付かず乱れやすいといわれています。特に、冬にめまいが悪化しやすく、寒さによって血管が収縮し、血液循環が滞りやすくなります。その結果、脳や耳へ十分な酸素や栄養素が運ばれず、機能低下を引き起こしてしまうと、体の平衡感覚が取れなくてなってしまいます。
また、内耳の一つの三半規管の中は「リンパ液」で満たされていますが、気圧の影響を受けやすいといわれています。気圧の変化によって、たとえ物理的に身体を揺らしていなくてもリンパ液が揺れてしまうため、情報のズレを調整しようと脳が混乱し、めまいの症状を引き起こすことがあります。
めまいを感じたときには無理に動かずにできるだけ安静を保つようにしましょう。ここでは、日常的にできるめまいを起こしにくくなるためのポイントをご紹介します。
疲労感をあまり感じていなくても実は、体が疲れていて抵抗力が低下していたり、自律神経も乱れがちです。自律神経のリズムを整える上で大切なのは、起床と就寝の時間、食事時間など基本的な生活時間を規則正しくすることにあります。お休みの日も寝だめや夜更かしなどはせず、一定にすることで睡眠の質がよくなり、活動の土台である体の緊張や疲労感が抜けやすくなります。
忙しい毎日の中でも、ゆっくりとリラックスする時間を少しだけでも設けてみましょう。常にストレスや不安な状態でいると睡眠不足などを引き起こし、疲労も抜けにくくなってしまいます。好きな音楽を聴いてみたり、カフェインの少ないハーブティーなど温かい飲み物を飲んでみるなど、心地よい過ごし方をみつけて、心と体をゆるめる時間を意識してみましょう。
食事には、栄養素の摂取だけではなく副交感神経を刺激して体をゆるめるのを助ける作用もあります。食事は、できるだけ3食抜かずに取るようにしましょう。
さらに、めまいを和らげるために意識して取り入れたい大事な栄養素が”ビタミンB群”です。
ビタミンB群にはビタミンB1やビタミンB12などいくつか種類がありますが、相互に補い合って働いているため単一で摂るよりも、複数のビタミンB群を含む食品を摂ると効率よく補うことができます。
ビタミンB1は、中枢神経や末梢神経を整える栄養素ですが、不足するとブドウ糖がエネルギー源として脳や神経に運ばれず障害を起こしてしまいます。
ビタミンB12は、めまいや耳鳴り、難聴を伴うメニエール病などの治療薬としても使われている栄養素です。末梢神経に働きかけたり、神経細胞を修復する働きがある他、睡眠と覚醒のリズムを整える働きもあるといわれています。ビタミンB12は、動物性タンパク質に多く含まれているため菜食を中心の食事をされている方は注意が必要です。
ビタミンB1:豚肉、豆類、玄米など
ビタミンB12:シジミ、アサリ、牡蠣などの貝類、サンマやイワシなどの青魚など
メニエール病は、めまいの10~20%程度を占めるとも言われ、みなさまも耳にしたことがある病気なのではないでしょうか。この病気は、グルグルと目が回る場合であっても、片耳の難聴と耳鳴り、耳の閉塞感などの4つの症状が重なり合い、繰り返し起こる内耳の病気で、内耳の中の水(リンパ液)が増え、内耳にむくみが生じてしまうと考えられています。症状も個人差があり、原因もハッキリとしていないものの、過度のストレスや睡眠不足などが関与していると考えられています。初期の耳の不調を見逃さず早期に治療を始めることで1~2か月程度で回復するといわれています。早めに耳鼻科や頭頚部外科へ受診をおすすめします。
ご自身や周りの大切な方のために、健康管理の正しい知識を身につけて、健康で輝く未来を創りましょう♪
めまいの症状を抱えたまま放っておくと、日常生活にも支障が出てきてしまうこともあります。日頃から心と体をゆるめる習慣を意識し、脳神経を労わる栄養素を取り入れるようにしてみましょう。ちょっとした不調を見逃さず、めまいを手放しましょう♪
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来月のテーマは、「生理痛」です。