生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
4月は新しい生活を始める方も多く、新しいことにワクワクしたり、ときには緊張したり、無意識のうちに肩にも力がはいってしまうことはありませんか?
今回の「筋肉をもっと知ろう!」では、年齢や性別を問わず多くの人が悩まされている「肩こり・首こり」について取り上げます。
こりの原因と関連のある筋肉、そして、日常生活で意識していきたいポイントについて解説していきます。
みなさまは「肩こり」という言葉には馴染みがあるかと思いますが、「首こり」についてはご存知でしょうか?
「首こり」は肩こりと関連する筋肉の位置や痛みが生じる範囲が似ているため区別するのが難しいのですが、それぞれの特徴を挙げると次のような違いがあります。
肩こりは正式な病名ではなく、首の後ろから肩、背中にかけて起こる不快な症状の総称です。首の周りの筋肉がこわばって硬くなり、筋肉にある血管が収縮します。そして、血流が悪くなり、肩の筋肉に溜まった疲労物質もうまく排出されにくくなります。
私たち成人の頭の重さは、ボーリングの玉と同じくらい(約5~6㎏)の重さがあり、その重たい頭を支えるために特に首に負担がかかりやすい構造をしています。そして、頭を支える筋肉で頭蓋骨と首の骨をつなぐ「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」が凝り固まることで「首こり」の発生につながります。
特に、長時間うつむいた姿勢で作業をし続けることは、首周りの筋肉が常に緊張状態となるため違和感や痛みが生じやすくなります。
では、次に肩こりや首こりを引き起こす代表的な「3つの筋肉の働き」をみていきましょう♪
僧帽筋は、首から肩そして肩甲骨周りにかけて背中側に広がっている大きな筋肉です。後ろから見たときに、首を中心に左右にひし形のような形をしています。
首や肩、肩甲骨の動きを支える役割があり、肩を上下させる、すくめる、肩甲骨を寄せるといった動作のときに使われる筋肉です。スポーツ時はもちろん日常動作でもよく使われる筋肉で張り感やこりが生じやすく、柔軟性が落ちると呼吸も浅くなることがあります。
⇒肩をすくめた時に痛みが生じる場合はこっている可能性があります。
胸鎖乳突筋は、耳の後ろから鎖骨に向かって斜めに伸びている筋肉です。首を横に向けたときに浮き上がる筋肉で、首を曲げたり、回すときや姿勢を保つときにも使われます。
そのため、デジタル機器などの画面をみるために、不自然に下を向いた姿勢を続けていると負担がかかって血流も滞り、こりも生じやすくなります。また、ストレスとも深い関係があるとされています。
⇒首を前に傾ける動作が辛い場合にはこっている可能性があります。
後頭下筋群は、頭蓋骨と首の骨をつないでおり、首の後ろ側の僧帽筋よりも奥深くにある筋肉の総称です。この筋肉は頭を支える、動かす、さらには、目を動かすといった繊細な動きにも連動しています。
そのため、パソコンやスマホを見るときに、首が前傾したり、目を酷使することも、首の動きの悪さや頭痛といった不快感を招く原因となります。
また、慢性的な姿勢の乱れによって、後頭下筋群がこり固まり、首の骨の湾曲が乱れる「ストレートネック」という症状にもつながっていきます。
⇒片頭痛などの頭痛、首の後ろの上部の張り感や痛み、首の動きが悪い場合にはこっている可能性があります。
⇒僧帽筋の柔軟性を取り戻す
⇒胸鎖乳突筋をほぐす
⇒後頭下筋群をゆるめる
日常生活において、長時間スマホやPCなどを使う機会の多い現代人は知らず知らずのうちに肩や首を酷使しがちです。時々、目線や姿勢を意識し、目を休ませるなど疲労を蓄積させない工夫をしましょう。
そして、意識的にストレッチなど行い、筋肉のこわばりをゆるめたり、刺激することで、筋肉の周りの血流を巡らせることができます。
無理のない範囲で少し意識を向け、心地よい状態を維持できるように心掛けたいものですね。
来月のテーマは、「筋肉をもっと知ろう! ~筋肉の基本⑤ 腰痛~」です。