生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
あっという間に師走となりましたね。去年に引き続き、今年も新型コロナウイルス感染症予防のために新たな生活様式への変更や外出自粛といった制限の多い1年だった方も多いのではないでしょうか。
そんな日々が相変わらず続いておりますが、今回は、クリスマスやお正月といったワクワクするイベントの際に登場する、アルコールとの付き合い方における注意点として「アルコールの表示変更」についてご紹介します。
缶ビールや缶酎ハイは、酒税法の関連法令である食品表示法により、容器に含まれるアルコールの割合を表示するように義務付けられています。
しかし、度数のみで表示されているため、実際に含まれているアルコール量が分かりにくく、自分がどれだけの量を摂取したのかピンとこないために過剰飲酒となってしまう可能性があることが指摘されています。
厚生労働省は、2021年3月に酒類業界に対して缶ビールや缶酎ハイに含まれるアルコール量について度数だけでなく「グラム単位」で量も容器に表示するように求め、閣議決定されました。
その背景には、国民健康づくりの一環である「アルコール健康障害対策推進基本計画(第2期)」を推奨し、消費者自身にアルコール摂取量を意識してもらうことで、アルコール依存症などの健康被害へのリスクを低減するという狙いがあります。
酒類は、生活に豊かさと潤いを与える一方で、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となり、本人のみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いため、健康障害の発生、進行および再発の防止を図ることを目的に基本計画が制定されました。
第1期は2016~2020年、第2期は、2021年~2025年度が対象となっています。
第1期の生活習慣病のリスクを高める飲酒量の飲酒者数の引き下げ目標に加え、第2期では、医療従事者向けの依存症早期発見のための研修プログラムを普及させることなどが新たに盛り込まれました。
厚生労働省によると、生活習慣のリスクが高まる純アルコール量は、男性が1日あたり40グラム以上とされ、女性の場合は20グラム以上が目安量とされています。
たとえば、350㎖缶で度数5%のビールはアルコール量の比重から14グラムとなり、女性は約2缶、男性は約3缶で目安を上回る計算となっています。
近年は10%近い度数の「ストロング系」などとよばれる、一般的な商品の2倍近い度数の酎ハイの人気も高く、意識せずに多量のアルコールを摂取してしまう危険性が指摘されています。
2025年を目標に、国内の酒類メーカーは全てのアルコール飲料に対して、容器へのアルコール量のグラム表示を順次進めており、また、併せてウェブサイトなどでも開示する取り組みを始めています。
さらに、アルコール量開示(明示)に取り組む一方で、メーカー各社は消費者の健康志向に応えるため、ノンアルコール飲料や低アルコール商品の開発も強化しているといいます。また、この動きはSDGs(持続可能な開発目標)の健康分野にも該当し、アルコールを控えることは世界的な風潮となってきているようです。
外出自粛による家飲みやリモート飲みや、お店での人数制限など、制約はある中でも、友人や家族、大切な方との時間を一緒に過ごし楽しむは、日々の忙しさを忘れさせてくれる貴重な時間であると思います。
そんな楽しいイベントの際に、ついつい飲みすぎてしまわないように、楽しみながらも「適正量」に注意しながら今年1年の疲れを癒し、また、新しい年を迎えられるようにしたいですね♪では、よい年末をお過ごしください。
来月のテーマは、「筋肉をもっと知ろう! ~筋肉の基本①構造~」です。