生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
新型コロナの影響によって、働き方や生活様式に変化が起こり、新しい習慣で生活する人が増えたことでしょう。中でも「食」に関連する習慣は、変化を感じることが多いのではないでしょうか。
変化を楽しみながら定着できそうなこともあれば、今までの生活とのギャップに少し疲れてきている面もあるかと思います。
こうした社会状況において、今回は食にまつわる意識の変化や新たに出てきた価値観にスポットを当ててみていきたいと思います♪
昨年4月の緊急事態宣言発令により、「ステイホーム」が叫ばれるようになった頃は、「家にいながらも楽しみたい!」ということから「お取り寄せ」に人気が集まりました。また、時間の余裕ができたことから手の込んだ料理に挑戦する人やキャンプ飯など、おしゃれな演出をして楽しむ人も増えました。
しかしながら、長引く自粛生活によってだんだんと節約意識が高まり、健康的かつ費用の安いレシピなどを中心とした自炊による「つくりおき」に移行する人が増えてきています。
これまで朝はバタバタと時間がなく朝食を欠食していた人が、通勤時間が無くなったことで朝食を食べる時間に使えるようになった人も増えました。
では、生活リズムの変化によって健康的になったかといえば、1日の食事回数が増えてしまった人も多く、活動量の低下も重なり、〝コロナ太り″という問題が浮上してきました。
外食が減ったために、炊事のストレスが増している。毎日の献立を考えるのも一苦労!そのため単一な料理により偏りがちに。。。さらに、中食(出来合いの総菜を買う)の便利さから、栄養価よりも安さとボリューム感を求めて揚げ物を選ぶ人も増えている傾向。
一方で、外食に行かなくなった分、良い食材を使って楽しむ人や高価なお弁当を買い満足度を満たしている派。一方で値段を見て効率よく買い物する節約派も。
日本では年中季節問わずに食べられるものが増え季節感を意識する人は少なくなってきています。しかし、新しい生活習慣を送る中で、免疫力強化のために旬の食材を取り入れ、その季節だからこその栄養価の高さに着目する人が増えてきています。
さらに、毎日の炊事のストレスもあり、そうめんや茹で野菜、鍋料理など簡単に食べられるものにも人気が集まっています。
自己防衛のために、注目ワードとして「発酵食品」「腸内環境」「免疫力を高める食材」「サプリメント」が多く検索されています。日常何気なく食べていたものに対しても見方が変わり、食品の持つ機能や効能を意識するようになってきた人も増えています。
新型コロナの影響で健康意識は高まりつつも、自粛生活における家事疲れにより食や飲酒へのストレス発散からコロナ太りなども増えてしまっています。
この流れによって企業も戦略を立ててきており、「食×罪悪感」に着目した商品が多数発売されています。罪悪感を感じずにお酒やお菓子などを食べたい」「家族への健康への配慮アピール」などといった消費のニーズとも重なり、糖質ゼロなどの機能性ビールやギルティーフリー(罪悪感のない)食品、植物性代替肉の売り上げが伸びているそうです。その風潮を受けて消費者にとっては、体を気遣いながらもストレス発散や気分転換の時間が今の癒しにもなっているようですね。
食の形態が変化してきたことで、健康問題だけではなく環境問題への配慮も求められるようになってきています。
感染予防の観点からテイクアウト需要が増加しています。それに伴った容器ごみの増加や2020年7月からのレジ袋有料化によってより環境問題が身近な存在に。マイ箸や水筒、マイバックなど手軽なところから取り入れ、小さなことでも将来の地球のために優しい選択をしていけたらよいですね。
このような状況だからこそ、自分の身は自分で守るためにこれまでは何か調子が悪いと医療機関や薬頼みだった人も「自分事」として捉え、未病の段階で防げる生活スタイルが求められています。
食生活においては、料理に使う砂糖を甘酒などの発酵調味料やはちみつなどに変えてみるなど、無理なく続けられて、時には楽しめるように工夫するなど、改めて見直してみるのはいかがでしょうか。
さまざまな情報が溢れているから今だからこそ、自分なりの判断軸や基準を持てるようにしていきたいものですね。
来月のテーマは、「春のメンタルケア ~新しい生活様式~」です。