生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
百日咳・ポリオ・ジフテリア・破傷風の4つの感染症をご存じですか?あまりなじみのない方も多いのではないでしょうか。
これらの感染症が身近に起きていないのは、赤ちゃんの頃にワクチンを接種して、予防しているからです。現在は、これらの4つの感染症が混合された4種混合(DPT-IPV)ワクチンが開発され、接種することで予防されています。
今回はこの4つの感染症について学びましょう。
混合ワクチンとは、数種類のワクチンが組み合わさったワクチンです。一方、同時接種は1種類ずつのワクチンを同時に2種類以上接種することです。その場合、摂取部分が重ならないように2.5㎝以上あけられます。
赤ちゃんがワクチンを接種できる月齢・年齢になれば、できるだけ早く接種するのが好ましいでしょう。赤ちゃんのワクチン接種回数は、半年間で15回以上にもなり、保護者に負担もかかります。そのため、医師が判断した場合には同時接種を行うことができます。
7~10日間程度
3期に分けられます。
百日咳菌
飛沫感染、接触感染
子どもを中心に感染がみられ、1歳未満の乳児は重症化しやすい傾向にあります。子供のころにワクチンを接種していても、数年後に抗体が低下した場合に、再度感染することがあります。大人の感染が増えているため、重症化しやすい乳幼児へ移さないようにすることが大切です。なお、10歳以降に追加接種すると予防につながります。
※学校保健安全法では、特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで出席停止とされています。
4~35日間(平均15日間)
ほとんどの人は症状が現れない不顕性感染で終わりますが、胃腸症状や咳、のどの痛みなどの風邪のような症状が出る場合があります。約0.1%の感染者は、ウイルスが脊髄に入り込み、手足の麻痺を引き起こします。麻痺型になると約半数が運動障害などの後遺症を残すといわれています。
ポリオウイルス
経口感染
日本では1980年以降発生していませんが、アフリカなどではまだ流行しています。流行地域に渡航する人は、追加接種を検討しましょう。特に、1975年~1977年生まれの人はポリオに対する免疫が低いことが分かっていますので、注意が必要です。
2 ~5 日程度
発熱、のどの痛み、血が混じった鼻水などの症状が現れ、のどに偽膜(ぎまく)と呼ばれる白い膜が形成されます。
ジフテリア菌
飛沫感染
ジフテリア菌が出す毒素によって心臓や神経が侵されて死亡することがあります。偽膜が気管支まで伸びることで気道閉塞により死亡するケースもあります。致命率は約5〜10%といわれています。近年の日本ではほとんど発生していません。
3 ~21 日程度
4期に分けられます。
破傷風菌
傷口から感染
破傷風菌は土の中などに存在し、傷口から体内に侵入します。破傷風菌は「テタノスパスミン」という強い毒素を作り、全身に回ると重症化してしまいます。発症する多くの方は1967年以前の定期接種が行われていない年代の人です。また、最後の予防接種から十数年経っている場合は、抗体が低下します。致命率も高く怖い感染症ですので、予防が大切です。日常の予防方法としては、傷口をきちんと洗い流し消毒などを行いましょう。病院で予防接種することもできます。
いかがでしたか?これらの感染症は多くの人の命を犠牲にしてきました。ワクチンの開発が進んだことで、日本での感染者は激減しました。
しかし、ワクチンが不足している世界の一部地域では、これらの病気で命を落とすことが少なくないことも知っておきましょう。
来月のテーマは、「おたふくかぜ ~感染症~」です。