健康管理情報

デング熱 ~感染症~

2020年4月
感染症

デング熱は、2014年に日本での国内感染者が69年ぶりに確認され、大きなニュースとなりました。しかし、世界では毎年1億人を超える感染者が出ているとみられています。近年、国の行き来が盛んになったことや地球温暖化による環境変化なども影響し、日本での増加も予測されているため、知っておきたい感染症の一つです。

デング熱

 

デング熱とは

デングウイルスに感染することによって発症する感染症です。ヤブカ属のネッタイシマカやヒトスジシマカの2種類の蚊によって媒介されます。日本では、ネッタイシマカの生息はなく、ヒトスジシマカのみが生息しているといわれています。熱帯、亜熱帯地域の多くの地域で感染者が出ていますが、特にアジアやインドで多く感染が広まっています。その他、カリブ海諸国、アフリカ、オーストラリア北部、中国南部、台湾などでも、媒介蚊が生息しています。デングウイルスには4つの型があり、一度感染すると、その型の免疫は獲得できるといわれています。しかし、異なる型に続けて感染すると重症化しやすくなります。

デング熱・デング出血熱の発生地域

 

デング熱の感染経路

デングウイルスを保有している蚊に刺されることで感染をします。感染者の人から人への感染はほぼありません。

日本での発生においては、デング熱流行地域に渡航した人が、感染した蚊に刺されることでデングウイルスに感染し、日本でその感染者の血を吸った蚊が感染して、また別の人を刺すことで、感染が広まったとみられています。ヒトスジシマカの活動範囲は50~100メートル程度と広くはありませんが、感染者が行動する範囲で、感染が広まっていくとされています。ヒトスジシマカの日本での活動期間は5月中旬~10月下旬頃までです。

デング熱感染経路

 

デング熱に感染すると

潜伏期間は2~14日で、多くは3~7日です。発症した場合は、38度以上の発疹、頭痛、関節痛、嘔気・嘔吐などの症状がみられます。場合によっては40℃以上の高熱が出ることもあります。ただし、中には感染しても症状が出なかったり、軽い症状で済んだりする人もいます。一方で、出血を止める働きのある血小板が減少し、鼻血や吐血、血尿などの全身の出血が見られる重症型のデング出血熱に進行することがあります。稀ではありますが、血圧が低下してショック症状を引き起こすデングショック症候群と呼ばれる重篤な症状を引き起こします。

厚生労働省によると、2016年に海外から帰国した方でデング出血熱による死亡症例があります。また、2019年にも、国内でデング熱に感染したケースが報告されました。蚊に刺されてから2~7日程度の期間で上記のような症状があれば、早めに医療機関を受診してください。

 

デング熱の予防

現在、デング熱のワクチンや治療薬はありません。発症すると、対症療法で治療をしていきます。ですから、蚊に刺されないようにすることが予防方法といえます。特に、デング熱が流行している地域に渡航する場合は気を付けましょう。虫よけスプレーを活用するほか、半そで短パン、サンダルなどの素肌がみえる服装は避けましょう。

デング熱予防1  デング熱予防2

 

デング熱のほかにも、マラリアやチクングニア熱など、蚊が媒介する様々な感染症があります。感染症にならないために、自分の身は自分で守りましょう。

来月のテーマは、「腸管出血性大腸菌 ~感染症~」です。