生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
脱水症になりかけているのに、本人や周囲が気づかないため有効な対策がとれていない「かくれ脱水」になる人が増えています。
1年を通して脱水症になる可能性はありますが、なりやすい時期は夏と冬です。
夏は発汗や喉の渇きで水分不足を自覚しやすいですが、冬は空気の乾燥によって呼気や皮膚から水分が蒸発する「不感蒸泄」が増えるため、気付かないうちに水分が失われてしまいます。
水分は体の中でさまざまな役割があります。体内の水分には主に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなどの電解質が溶解していて、血液や細胞などに含まれています。
そして、口から入った水分は胃から腸を通過して、毛細血管に吸収され、血液として全身を巡ります。細胞に新鮮な酸素や栄養素を運搬し、老廃物を引き取り、腎臓でろ過されて尿として排泄されます。
水分補給により血液循環がよくなると、体の司令塔である脳にも酸素が十分に行きわたり頭がスッキリします。また、肌の潤いを保つためにも水分補給は欠かせません。
人間の体内の水分量は、成人男性約60%、成人女性約55%で、高齢者は約50%程度まで減ります。そして、1日に呼吸や汗、尿や便などで体外に出ていく水分量はおよそ2.5ℓです。一方、食事や体内で作られる水分は1.3ℓ程度なので、飲み水として1.2ℓ程度必要となります。
かくれ脱水は、体の水分が減少し、脱水症状になる手前の状態です。唇や皮膚がカサカサしている、頭がぼーっとする、のどが渇く、汗を大量にかく、集中力が低下する、立ちくらみがするなどの症状が現れます。しかし、このようなかくれ脱水の兆候に、本人や周囲が気づいていない場合があります。特に、のどの渇きを感じ取りにくくなっている高齢者、のどの渇きを感じていても自ら水分補給ができない子どもなどに起こりやすく、有効な対策が取れないと脱水症状は進行していきます。
軽度の脱水症では、頭痛、倦怠感、立ちくらみ、食欲不振などの症状が現れます。
中等度では、嘔吐、めまい、乏尿などが現れます。それ以上、水分が喪失すると、血圧低下、循環不全など、命にかかわる重篤な症状をきたします。
また、血液の中の水分量が減り、血液がドロドロになることで脳梗塞や心筋梗塞の危険性も増します。
脱水症状になってしまった時は、経口補水液がおすすめです。
水に塩、砂糖を入れて混ぜて、溶かしてください。経口補水液は分量のバランスが大切なので、きちんと量りましょう。
※脱水症状がひどい場合にはすぐに病院に行きましょう。
来月のテーマは、「感染症って何? ~〇〇感染症~」です。