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ノロウイルス ~今話題の健康ワード!~

2019年11月
更新)
今話題の健康ワード!

ノロウイルスによる感染症は、秋口から春先にかけて、冬をピークに発生します。一般的に、ノロウイルスは食中毒の原因ウイルスとして注目されていますが、最近では、ヒトからヒトへ感染する感染症としても重要視されています。

ノロウイルスにかかった女の子

 

ノロウイルスってなに?

ノロウイルスは、口から体に入り、小腸で増殖し、便や嘔吐物から排出されます。大きさは、直径30~40nm(ナノメートル)とウイルスの中でも非常に小さいですが、感染力が非常に強く、少量のウイルス(100個以下)でも発症します。乳幼児から高齢者までの幅広い年齢層に感染し、学校や病院、施設など集団感染の原因にもなるので、社会的影響は極めて大きいウイルスです。
※1nm:1mmの100万分の1

名前の由来は?

ノロウイルスは、1968年アメリカのオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者の便から検出されたことから、町の名前である“ノーウォーク・ウイルス”と呼ばれていましたが、2002年国際ウイルス命名委員会によって、正式に「ノロウイルス」と命名されました。

感染経路

  1. 食べ物を介した感染(食中毒など)
    ノロウイルスに汚染されたカキやその他の二枚貝を、生あるいは加熱不十分な調理状態で食べたり、ノロウイルス感染者によって汚染されたその他の食品を食べたことによる経口感染が多いといわれています。
  2. 食べ物を介さない感染
    感染者の便や嘔吐物に接触することにより二次感染を起こします。また、飛沫・空気感染によって感染拡大したとの報告もあります。
食べ物を介した感染

 

症状は?

1~2日間の潜伏期間を経た後、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、発熱などの症状が出ます。通常であれば、発症後1〜2日程度で治まります。症状が落ち着いてきたら、少しずつ水分補給をします。また、感染しても自覚症状のない場合や風邪のような症状で済む場合もありますが、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者などでは、重症化することがあります。

予防のポイント

  1. カキなどの二枚貝は中心部まで十分に加熱
    ノロウイルスは、「85℃~90℃、90秒間以上の加熱」により感染力を失うとされているので、十分に加熱してから食べましょう。
  2.  手洗い・消毒
    調理や食事の前、トイレの後など、こまめに石けんを使ってしっかりと手洗いをします。手洗い後、アルコール手指消毒剤を使用するとより万全です。
十分に加熱 手洗い・消毒

 

消毒・処理のポイント

感染を拡大させないために、便や嘔吐物は「すばやく」「適切に」処理しましょう。ビニール手袋やマスクなど(使い捨てが望ましい)を用い、便・嘔吐物には直接接触しないようにします。換気も行い、空気中のウイルスを外に出し、片づけが終わったら、よく手を洗い、うがいをしましょう。

消毒・処理のポイント
  1. トイレなど
    便器の中は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm)を使って消毒します。トイレの床や洗浄レバー、ドアノブなどは、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)を浸すようにペーパータオル等で拭き、その後水拭きをします。
  2. 床など
    嘔吐物等はペーパータオル等で拭き取り、ビニール袋に入れて廃棄します。このとき、ビニール袋に嘔吐物等が十分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm)を入れることが望ましいとされています。嘔吐物を拭き取った床などは、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸すようにペーパータオル等で拭きとった後、水拭きをします。
  3. リネン及び下着類
    廃棄することが望ましいですが、煮沸消毒も有効です。煮沸消毒ができない場合は、洗濯時の二次感染を防ぐためにもみ洗いはせず、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm以上)に漬け置きします。その後、十分にすすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果が高まります。
  4.  感染者が使用した食器
    次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)に5~10分程度浸してから洗います。

 

次亜塩素酸ナトリウム消毒液の作り方

市販の漂白剤(塩素濃度約5%)を希釈して作ることができ、保存すると数日で消毒効果が低下するため、その場で希釈するとよいでしょう。

  1. 【塩素濃度200ppm】   例:水5Lに漂白剤を20ml入れる
  2. 【塩素濃度1000ppm】   例:水1Lに漂白剤を20ml入れる

漂白剤は、酸素系ではなく、塩素系でなければ効果的な消毒はできません。漂白剤を使用する際は、使用方法を守り、塩素系と酸素系を混ぜたり、熱湯で希釈しない(消毒効果が低下します)ようにしましょう。

現在、ノロウイルスに対するワクチンや治療薬はありませんので、日頃の予防と健康管理をしっかり行いましょう!!

来月のテーマは、「かくれ脱水 ~今話題の健康ワード!~」です。