生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
ノロウイルスによる感染症は、秋口から春先にかけて、冬をピークに発生します。一般的に、ノロウイルスは食中毒の原因ウイルスとして注目されていますが、最近では、ヒトからヒトへ感染する感染症としても重要視されています。
ノロウイルスは、口から体に入り、小腸で増殖し、便や嘔吐物から排出されます。大きさは、直径30~40nm(ナノメートル)とウイルスの中でも非常に小さいですが、感染力が非常に強く、少量のウイルス(100個以下)でも発症します。乳幼児から高齢者までの幅広い年齢層に感染し、学校や病院、施設など集団感染の原因にもなるので、社会的影響は極めて大きいウイルスです。
※1nm:1mmの100万分の1
ノロウイルスは、1968年アメリカのオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者の便から検出されたことから、町の名前である“ノーウォーク・ウイルス”と呼ばれていましたが、2002年国際ウイルス命名委員会によって、正式に「ノロウイルス」と命名されました。
1~2日間の潜伏期間を経た後、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、発熱などの症状が出ます。通常であれば、発症後1〜2日程度で治まります。症状が落ち着いてきたら、少しずつ水分補給をします。また、感染しても自覚症状のない場合や風邪のような症状で済む場合もありますが、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者などでは、重症化することがあります。
感染を拡大させないために、便や嘔吐物は「すばやく」「適切に」処理しましょう。ビニール手袋やマスクなど(使い捨てが望ましい)を用い、便・嘔吐物には直接接触しないようにします。換気も行い、空気中のウイルスを外に出し、片づけが終わったら、よく手を洗い、うがいをしましょう。
市販の漂白剤(塩素濃度約5%)を希釈して作ることができ、保存すると数日で消毒効果が低下するため、その場で希釈するとよいでしょう。
漂白剤は、酸素系ではなく、塩素系でなければ効果的な消毒はできません。漂白剤を使用する際は、使用方法を守り、塩素系と酸素系を混ぜたり、熱湯で希釈しない(消毒効果が低下します)ようにしましょう。
現在、ノロウイルスに対するワクチンや治療薬はありませんので、日頃の予防と健康管理をしっかり行いましょう!!
来月のテーマは、「かくれ脱水 ~今話題の健康ワード!~」です。