生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
最近なんとなく調子が悪い、学校や会社に行きたくない、頭痛になりやすくなったなどといった症状には、ストレスや生活習慣などさまざまな原因から不調が起こる「自律神経失調症」が隠れていることがあります。
自律神経失調症の症状は多岐にわたり、はっきりとした検査データの異常としてとらえにくいため、そのつらさが周囲に理解されにくいところがあります。
神経は、体中に張り巡らされている「末梢神経」と、そこから集められた情報が集まる「中枢神経」とに分けられます。末梢神経には、自分の意志によって手足を動かすための「運動(体性)神経」や自分の意志とは無関係に各器官を働かせる「自律神経」などが含まれます。
自律神経は、交感神経と副交感神経の2つに分かれ、交感神経は体を動かすときに働き、副交感神経は体を元の穏やかな状態に戻そうとするときに働きます。これらは1つの器官に対して相反する働きを持ち、必要に応じてどちらかの働きを強め、シーソーのようにうまくバランスを保っています。
しかし、不規則な生活によって自律神経が興奮し続けたり、ストレスによる刺激、更年期におけるホルモンの乱れ(更年期障害)、先天的要因などでこのバランスが崩れ、自律神経失調症を発症してしまいます。
自律神経失調症の治療は、心と体の両面から行うことが大切です。食事や運動、睡眠など生活習慣に問題がある場合も多く、生活習慣を改善することも必要です。さまざまな種類の治療法があります。
今回は自分でできる自己管理法をおさえていきましょう。
生活リズムが整った生活は、体のリズムを整えるため、自律神経のバランスをよくすることにつながります。交感神経が優位である日中は活発に動き、副交感神経が優位になる夕方~夜には休息を心掛けましょう。
食事をしている時は交感神経が優位になり、その後の消化吸収では副交感神経が優位になります。そのため、1日3食決まった時間に食事をすること、特に一日のスタートである朝食をとることで、自律神経の切り替えがスムーズになります。また、食事内容も、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン類・ミネラルという栄養素をバランスのよく含んだ食事を、時間をかけてとることを心掛けましょう。
心身の疲れを回復させたり、ストレスを引きずらないためには、十分で良質な睡眠が不可欠です。そのためには、朝に太陽の光を浴びることが大切です。太陽の光を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が増えるといわれています。また、必要な睡眠時間には個人差がありますが、少なくとも、5~6時間以上の睡眠時間は確保するように心掛けましょう。
運動は、リラックス効果があるだけでなく、快眠をもたらし、食欲も高めます。しっかりとした運動時間を持てなくても、階段を利用したり、ストレッチを行う、深呼吸をするなど、日常生活の中で少し体を動かすだけでも運動不足の解消につながります。深夜に激しい運動をすると、自律神経をしやすくなるので、日中汗を軽く流す程度で、楽しく続けられる運動がおすすめです。
ストレスは気づかないうちに蓄積されていきますので、ストレスをこまめに発散する習慣を持つとよいでしょう。軽い運動や趣味、瞑想などの時間をとることでも気分転換ができます。よく笑うこともストレス発散には重要です。
来月のテーマは、「ストレートネック ~今話題の健康ワード!~」です。