生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
喫煙が健康に与える影響は大きく、喫煙習慣は個人の嗜好にとどまらない健康問題であり、生活習慣病を予防する上で、喫煙対策は重要な課題になっています。
世界保健機関(WHO)は、昭和45年にたばこ対策に関する初めての世界保健総会決議を行い、平成元年には5月31日を「世界禁煙デー」と定め、喫煙しないことが一般的な社会習慣となることを目指し、厚生労働省においても、平成4年から世界禁煙デーに始まる一週間を「禁煙週間」として定めました。
たばこの煙には、約5,300種類以上の化学物質が含まれ、このうち約70種類は発がん物質、発がん促進物質とされており、肺から血液の中に入って身体の隅々まで到達します。代表的な有害物質には、ニコチン、タール、一酸化炭素が挙げられます。
喫煙者本人がたばこの煙を吸い込む能動喫煙はもちろん、喫煙者の周囲の人が煙を吸い込む受動喫煙による健康被害が問題となっています。
2017年の日本たばこ産業株式会社の全国たばこ喫煙者率調査によると、日本の20歳以上の喫煙者率は、男性は28.2%であり低下傾向にありますが、他の先進国と比べると高率です。一方、女性の喫煙者率は9.0%です。
2000年 | 2010年 | 2017年 | |
---|---|---|---|
男性 | 53.5% | 36.6% | 28.2% |
女性 | 13.7% | 12.1% | 9.0% |
資料 日本たばこ産業株式会社
国立がんセンターの調査によると、受動喫煙がある人はない人に比べて肺がんになるリスクが約1.3倍になると報告されています。
また、喫煙者は肺がんだけでなく、以下の疾患にもなりやすいと言われています。
2013年からスタートした「健康日本21(第二次)」において、喫煙対策に関する指標としては、「喫煙率の低下」と「受動喫煙への暴露状況の改善」に関わるものが重要とし、以下4つの目標が定められました。
5年経過後の中間評価においては、4つの指標ともに改善傾向がみられますが、改善の度合としては十分とは言えない状況にあります。
2003年に施行された健康増進法において、施設の管理者は、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨が規定されました。喫煙者は受動喫煙の健康被害について理解し、公共の場での喫煙に対しマナーを持って健康増進に協力する必要があります。
また、2005年に「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」が発効され、禁煙の希望があり、治療の必要性が認められたニコチン依存症患者に対する一定期間の禁煙治療について、2006年4月から条件付きで保険給付の対象としているほか、より効果的な禁煙支援を推進するための「禁煙支援マニュアル」の作成、2013年からは「禁煙支援マニュアル(第二次)」の公表、たばこクイックライン(電話禁煙相談窓口)事業を開始しました。
さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、幅広い公共の場における受動喫煙防止対策のさらなる強化に向けて「受動喫煙防止対策強化検討チーム」が2016年に設置されました。我が国における受動喫煙防止対策をオリンピック・パラリンピック開催国と同等の水準を目指し、必要な法律案を国会に提出し、関係者の意見を踏まえながら調整を進めていきます。
来月のテーマは、「6月病 ~今話題の健康ワード!~」です。