生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
近年、ゲームのやり過ぎによって、日常の生活、勉強、人間関係、健康といった面に影響を及ぼすという事例が報告されています。
ゲームの長時間の使用や就寝直前の使用は睡眠時間の減少や体調不良をひき起こすだけでなく、仕事の効率を低下させたり、人間関係にも支障をきたすことにつながります。
2018年6月、WHO(世界保健機関)は「ゲーム依存症」を病気として認定し、精神疾患として位置付けました。
ゲーム依存症とは、人間関係や健康面に問題が生じても制御がきかずゲームに没頭し続け、日常生活に支障をきたすことです。
以前は、10~20代の子どもや若者の依存として認識されていましたが、スマートフォンの普及とともに、最近では30~40代の患者が増加してきていると言われています。
WHOは今回のICD(国際疾病分類)の改訂で、以下の診断基準の諸条件が当てはまると、「ゲーム依存症」と診断される可能性があると明示しました。
長時間画面を見続けることで視力低下が報告されています。また、運動量が減ることから、肺活量の減少も見られます。
ゲーム依存症になることで、ゲームに関連する情報を脳が認識したときに興奮しやすくなり、なかなか寝付けず不眠や睡眠障害になりやすいという報告があります。
イライラしやすくなったり衝動的になりやすいとの報告もあります。また、ゲーム依存症になると、ゲームをやらないと禁断症状が生じ、「ゲームしたいのにできない」ことに苛立ち衝動的な行動をとる場合もあります。
以上3点の他にも、昼夜が逆転し朝起きることができずひきこもりになったり、集中力や注意力が低下し学力が低下するとの報告もあります。
ゲーム依存症になる背景として、孤独感や低い自己肯定感、トラウマ(心的外傷)がある場合があります。その場合、ゲーム依存症が緩和し、ゲームばかりする日々でなくなったとしても、そもそもの「生きづらさ」が解消されていないため、ゲーム依存症の当事者の苦しみは続くかもしれません。
そのため、病院等で臨床心理士や精神科医との関わりの中や、回復施設等でカウンセリングを受け、過去のトラウマ(心的外傷)や孤独感を癒す必要があります。
認知行動療法は、人の認知(気付きや思考)や行動に着目した心理療法です。ある認知(気付き)に対する思考や感情を自動思考と呼びますが、認知行動療法では患者本人が生きていきやすいように思考や考え方に働きかけ、修正していきます。
来月のテーマは、「NAFLD・NASH ~今話題の健康ワード!~」です。