生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
石川県は、日本海に面した本州のほぼ中央部に位置しており、南西側は福井県、東側は富山県、南東側は岐阜県に隣接しています。気候は、日照時間が少ない典型的な日本海岸気候であるため、夏はやや乾燥し、冬の降雪量は多くなります。
能登半島を含む南北に伸びた細長い地形が特徴である石川県は、里山里海の日本の原風景が残る「能登」、江戸時代に加賀百万石の城下町として発展した「金沢」、粟津(あわづ)・片山津(かたやまづ)・山代(やましろ)・山中(やまなか)の四湯が集う温泉郷である「加賀」、名峰・白山の雄大な自然が広がる「白山」といった大きく4つのエリアに分けられ、それぞれのエリアにおいて豊かな自然と文化が育まれています。
郷土の花は「クロユリ」です。クロユリは、ユリ科バイモ属の植物で、亜高山帯~高山帯の草地に生える高さ10~30cmの多年草です。日本三名山の1つである白山は、クロユリの群生地として知られています。
兼六園は、加賀藩5代藩主・前田綱紀(まえだつなのり)が作庭を始め、歴代藩主が莫大な財力を投資し、長い年月をかけて現在の形へと作り上げていきました。江戸時代の回遊式庭園(園内を回遊して鑑賞する庭園)の特徴を今日に残す代表的庭園であり、茨城県水戸市の偕楽園(かいらくえん)、岡山県岡山市の後楽園とともに日本三名園の1つに数えられています。
また、兼六園は、宏大(こうだい)(開放的で明るく広々)、幽邃(ゆうすい)(山中のように鬱蒼とした樹木に囲まれた様子)、人力(じんりょく)(橋、灯篭、植栽など人工的なもの)、蒼古(そうこ)(自然のままの趣を残す古びた風情)、水泉(すいせん)(滝や池、小川などの水を生かした景観)、眺望(遠望ができる見晴らしのよさ)の6つの優れた景観「六勝」を兼ね備えるという意味から命名され、2009年にはミシュラン観光ガイドで最高評価の3ツ星も獲得しています。
金時草は、昭和20年以前から主に金沢市で栽培されてきた伝統野菜である「加賀野菜」の1つであり、東南アジアが原産とされるキク科の多年草です。江戸時代に中国から渡来し、熊本県の水前寺(すいぜんじ)で栽培されていたことから正式名は「水前寺菜(すいぜんじな)」といい、沖縄県では「ハンダマ」とも呼ばれています。石川県では緑色の葉の裏が鮮やかな金時芋や金時豆の「金時色(赤紫色)」に似ていることから「金時草」の名がつきました。現在、金時草を多く栽培しているのは、全国的にみても金沢だけといわれています。
茹でると独特の粘りが出るのが一番の特徴であり、葉と若い茎を食用にします。ビタミンA、鉄分、カルシウムを多く含む健康野菜としても注目されています。
かぶら寿司は、石川県を中心に江戸時代から親しまれている冬の郷土料理であり、なれ寿司(主に魚を塩と米飯で乳酸発酵させた食品)の一種です。塩漬けにしたカブ(かぶら)の輪切りに、同じく塩漬けにしたブリやサバなどの魚の身をはさみ、人参や昆布、唐辛子とともに麹で漬け込み発酵させたものです。麹の発酵が生んだ甘みとカブのシャキッとした食感が絶妙な味となっています。
かぶら寿しの起源には諸説があり、江戸時代に加賀・前田藩主が深谷(ふかたに)温泉(石川県金沢市)へ湯治に訪れた際に提供された説や宮越(みやのこし)(現・金沢市金石町)の漁師が一年の豊漁と安全を祈る正月の儀式のご馳走として振る舞った説などがあります。
治部煮は、小麦粉をまぶした鴨肉や鶏肉の切り身を季節の野菜やキノコ、すだれ麹、みりん、酒、醤油、砂糖、だし汁などとともに煮た金沢の代表的な郷土料理です。まぶした粉が肉のうまみを閉じ込め、汁に適度なとろみがあるのが特徴です。お好みでお椀に薬味としてわさびを添え、椀で汁に溶かして召し上がることで味が引き締まります。
治部煮の名前の由来には、豊臣秀吉の兵糧奉行(ひょうりょうぶぎょう)だった岡部治部右衛門(おかべじぶえもん)が料理を考案したことで人名にちなんだ説や調理する際に材料を煮込む音が 「じぶじぶ 」と聞こえたことから付けられた説などがあります。
来月のテーマは、「埼玉県 ~日本の郷土料理~」です。