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滋賀 ~日本の郷土料理~

2015年7月号
更新)
日本の郷土料理

滋賀県は、日本列島の中央部に位置し、周囲を山脈が取り囲んでいる内陸県です。滋賀県といえば、中央に日本最大の湖である琵琶湖と近江盆地があることで有名です。気候の特徴として、全域が内陸気候であり、北部は日本海側気候、南部は太平洋側気候、瀬戸内海側気候を併せ持っています。また、盆地であるにも関わらず、琵琶湖の湖岸にある彦根市の気温は比較的安定しています。理由として、琵琶湖の水が暖まりにくく、冷えにくいことから、寒暖の差を和らげているといえます。
滋賀県は、全国第38位の広さの面積をもち、人口は全国第26位となっています。琵琶湖が滋賀県の面積の大部分を有していると思われがちですが、実際には山林が総面積の半分を占めているため、琵琶湖は総面積の1/6程度になります。
滋賀県は、琵琶湖での水産業が盛んであり、全国8つの内陸県の中で唯一漁港を持つ県です。その数は20もあります。現在琵琶湖では110種類の魚介類が生息しており、その中の40種は琵琶湖固有種です。ここまでたくさんの固有種のいる湖は、琵琶湖の他にありません。主な食用魚としてアユ・二ゴロブナ・ホンモロコ・ビワマス・セタシジミなどの魚介が食されており、これらの魚介が琵琶湖漁業を支えています。
滋賀県の県花は「しゃくなげ」です。

 

名所

彦根城

彦根城は、約400年前「関が原の戦い」で将軍徳川家康公の勝利に大きく貢献した井伊直政の子である、直継により築城されました。
関が原の戦いで活躍し、徳川四天王の一人として活躍していた井伊直政は、徳川家康により、戦いに敗れた石田光成の城である佐和山城を与えられました。佐和山城は武将達の天下取り争いの拠点となっていました。
しかし、立地が山上であることから鉄砲合戦には弱く、また豊臣色の強い城を変えるべく彦根山への移築を決めました。しかし、井伊直政は合戦により負傷した鉄砲傷により死去し、子である直継が引き継ぐことになりました。家康は、近隣7ヶ国の12大名を応援に行かせ、1604年から1622年まで、18年の歳月かけて彦根城を完成させました。
その後井伊家は、彦根城を拠点として14代にまで続き、彦根藩主を維持しました。中でも13代の井伊直弼は桜田門外の変で暗殺されたことで知られています。
彦根城は現在に至るまで、災害や武士中心の政治の終わりなどの理由により一部解体されたものの、現在の姿を維持しています。
最近では、彦根城でご当地キャラの「ひこにゃん」に会えるということもあり、若い世代が足を運ぶきっかけにもなっています。

特産品

かぶ

滋賀県はかぶの産地として有名であり、草津市、甲賀市、近江八幡市などで栽培されています。滋賀県で栽培されている代表的な品種として大かぶ、赤カブ、白かぶのほか伝統野菜である日野菜、北之庄菜、赤丸かぶ、万木かぶなどの種類があります。
日野菜は今から約500年前(室町時代)に滋賀県日野町鎌掛で発見された伝統野菜です。現在では九州などでも栽培されており、滋賀県発祥の野菜としては最も有名な野菜といえます。一般的には漬け物として食べられることが多いです。
かぶは根と葉で栄養成分が異なり、根は淡色野菜、葉は緑黄色野菜に分類されます。根の部分には主にビタミンC、消化酵素アミラーゼが含まれています。アミラーゼは、消化酵素としての働きがあり、胃もたれ、胸焼け、整腸作用などの効果も期待できます。葉の部分は、βカロテン、ビタミンC、カルシウム、カリウムを豊富に含みます。βカロテンは体内でビタミンAに変換され粘膜や皮膚の健康維持に役立つほか、抗発がん作用もあります。カリウムはナトリウムの排泄を促し血圧を下げる効果が期待できます。また、カルシウムは骨や歯を丈夫にする他、精神安定剤としての効果もあるといわれています。カルシウムは良質なたんぱく質と一緒に摂取することで吸収を高めることができます。
このように、かぶは根から葉まで余すことなく食べることで、良質な栄養を摂取することのできる万能な野菜といえます。

郷土料理

鮒寿司

鮒寿司は、滋賀県に数千年前から伝わる伝統的な発酵食品です。鮒寿司はタイ北部から中国雲南省を起源とし、「熟れ寿司」の一種です。「熟れ寿司」は淡水魚を塩とご飯で発酵させ、程よい味に馴れ合わせることから、そう呼ばれています。
滋賀県では各家庭で作られ、夏前に仕込んだ鮒寿司はちょうどお正月ごろに完成し、新年のおせち料理には欠かせない一品となっています。作り方は、春に捕獲した鮒のうろこ、えら、卵巣以外の内臓をとり除き、塩をつめ、3ヵ月ほど漬け込みます。その後取り出した鮒をよく洗い、今度は塩を混ぜた飯をつめ数ヶ月漬け込みます。鮒寿司は様々な楽しみ方があり、鮒をスライスしてそのまま食べたり、発酵食品の独特な香りが気になる方はお茶漬けにすると食べやすくなります。
またミネラル、ビタミンB1、乳酸菌が豊富に含まれているので美容・健康に特化した食べ物といえます。

赤こんにゃく

赤こんにゃくは、滋賀県近江八幡の伝統的な食材です。赤こんにゃくの起源は織田信長にあるといわれています。何事も派手なことを好んだ織田信長はこんにゃくも赤く染めさせてしまったとのいわれがあります。
赤こんにゃくの赤色は、食紅や唐辛子が入っているわけではありません。この色は、三二酸化鉄という食品添加物による色です。赤こんにゃくはこんにゃく本来の食物繊維、グルコマンナン、カルシウムなどの成分のほか、鉄分も含むため女性にお勧めの食材といえます。
食べ方は、サラダや煮つけ、田楽などにして楽しむことができます。また、食卓の彩りアップにもなります。

来月のテーマは、「兵庫県 ~日本の郷土料理~」です。