生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
ストレスに弱い現代人をつくっている原因として、食生活においての栄養バランスの乱れがあります。日本人の食生活は大きく変化し、欧米化が進んだことで、動物性の脂質の摂取が増えた一方、ストレス対策に欠かせないビタミンやミネラルなどの摂取が大幅に低下しています。
食べ物や食生活で直接ストレスの原因を解決できるわけではありませんが、体の健康を維持するために必要な栄養素が不足している時に、ストレスを感じやすくなったり、ストレスに弱くなるなどストレスと食は密接な関わりがあります。
残業続きでろくな食事が取れない、市販のお弁当やお菓子で済ましてしまう・・・なんてこと、ありませんか?
そういう食生活が続くことで、ストレスに弱くなってしまうことがあります。
次のようなミネラルやビタミンなどが不足しないようにし、バランスの良い食事を心掛けましょう。
カルシウムが不足するとイライラの原因となります。カルシウムを多く含む食品には、干しエビやしらす干しなど小魚類、納豆などの大豆製品、チーズなどがあります。
カルシウムの吸収を良くするためには、魚や干ししいたけに多く含まれるビタミンDが必要です。
マグネシウムはカルシウムの働きを調整する作用があり、ストレスをためるとこのマグネシウムの吸収がより悪くなるため、悪循環になりがちです。
マグネシウムが多く含まれているのは、アーモンド・落花生などの種実類、大豆、納豆、ひじきなどです。
コレステロールは、体がストレスと戦ううえで必要な副腎皮質ホルモンの原料になります。また、ストレスにさらされると、数種類のホルモンが盛んに分泌され、タンパク質の分解を促進させます。
そうすると、肌が荒れたり、疲れやすくなったり、脳の働きが低下したりします。
肉類、魚介類、乳・乳製品、大豆・大豆製品などの食品に良質のタンパク質が含まれています。
ストレスにさらされると抗酸化機能が低下し、抗酸化ビタミンのβ-カロテン、ビタミンC、Eが不足してきます。また、ストレス時に分泌されるホルモンの合成には、ビタミンB群、Cが必要です。
ビタミンB群が不足すると、皮膚や粘膜や血管などに異常を生じ、神経の正常な働きに支障が出て、精神状態が悪くなります。
ビタミンCは免疫力を強化して、抗酸化作用がありますが、精神的なストレスがかかると大量に消費されます。
ビタミンが多く含まれている食品は野菜や果物です。
甘いものに手が出がちですが、ほどほどにして、生姜・ネギ・ニンニク・ニラなど辛味の食物を食べると良いでしょう。
スモモ・ イチゴなど酸味の食物、セロリ・トマトなど苦味の食物、アサリ・シジミなど精神安定に働く食物を食べると良いでしょう。
楽しい食環境づくりで心の栄養を補給し、ストレスを解消することも大切です。
ストレスの多い生活では、食生活が不規則になりがちです。そうすると、さらにストレスに拍車をかけてしまいます。忙しくても、1日3食きちんと落ち着いて食べることがストレス対策の基本です。
やけ食いや無茶食いなどの暴飲暴食は、ストレスから解放されるための手軽な手段かもしれません。しかし、太ってしまうことへの強い恐怖にとらわれ、食べた後吐く、下剤や利尿剤を使うという行動にはしってしまう人は要注意です。そうなると、食べたいという衝動が抑えきれなくなります。ストレスが軽減できるその他の手段をぜひ見つけて下さい。
おいしいものを楽しくリラックスして食べることがストレス解消には何よりも大切です。ときには家族そろって外食に出掛けるなどして、食事の環境を変えてみましょう。
ストレス解消には、幅広い食品に含まれている栄養素や成分が必要なので、さまざまな食べ物を食べることが大切です。様々な成分がお互いに助け合って体は機能していますから、何か単一の成分だけを取りさえすれば有効に活用できるというものではありません。
「食べる」という行為は、単に栄養を取るためだけのものではありません。緊張を和らげ、精神を安定させるものであり、和やかな雰囲気の中での食事は、ストレス解消にも効果があります。
どんな環境で、誰と食事をするのかということも、ストレスと深い関係があるのです。忙しい中どうしても1人で食事をしなければならない時、立ち食いそばで済ませなければならない時もあるでしょう。
そんな時は、机の上を片付けてから食事をする、夕食は家族や友人たちとゆっくり食事をするなど、ちょっとした工夫が食事をより豊かなものにし、ストレスを緩和するのに有効なことを思い出してみて下さい。
アミノ酸の一種であるギャバは、ストレスや更年期障害によるイライラの緩和など、いろいろな作用があることが分かってきました。
ギャバは人間の脳内に存在する神経伝達物質で、脳の神経細胞の興奮を抑える働きがあります。精神的なストレスによる緊張や不安、イライラなどを和らげ、気分を落ち着かせてくれるのです。睡眠の質を良くし、不眠を改善する働きもあります。
ギャバは発芽玄米、ぬか漬け、トマト、アルファルファなどだけでなく、緑茶やチョコレートにも含まれています。食事だけでなく間食でも上手に取り入れると良いでしょう。
トマト ……大1個
アルファルファ ……1パック
ザーサイ ……50g
純正ごま油 ……大さじ1
塩 ……適量
アルファルファはたっぷりのお湯でサッとゆでてから良く冷やし、水気を切っておく。
トマトは食べやすい大きさに、ザーサイは細かく刻み、1.のもやしと合わせ、ごま油を加えて混ぜる。
最後に必要であれば塩をひとつまみ程度(好みで加減して下さい)加えて混ぜ合わせ、よく冷やしてできあがり。
来月のテーマは、「入浴 ~ストレス解消法~」です。