生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
暑気払いとは、「暑さに負けそうになる心身を元気づけること。また、そのために何事かを催すこと(大辞林)」。お酒や薬を飲んで、夏の暑さを払うという意味もあります。現在では前者の催しを指すことが多いようです。
ではその暑さに負けると・・・通常「夏バテ」という状態になります。そもそも夏バテの症状は主に、食欲不振、全身の倦怠感や疲労感で、原因としては、
①環境ストレス(高温・多湿、光線)
②温度差ストレス(冷房・外気の温度差)
③運動不足・睡眠不足・暑さからくる消化機能の低下
が上げられます。
単純に「暑さ」「湿度」からくるストレスもありますが、最近問題とされているのが②の温度差ストレス。冷房が効いている屋内と外の出入りを繰り返すと、体温調節を行う自律神経に乱れが生じます。そうなると、体温の調節がうまくいかなくなり、だるさや食欲不振といったさまざまな症状を引き起こすのです。これら3つが絡んでさらに自律神経の乱れに繋がっていき、夏バテの症状を悪化させるのです。
環境ストレス、温度差ストレスについては、冷房をあまり下げすぎない、適度な運動をして汗を出し、ストレスを撃退するなどの方法があります。それでは「食」はどうでしょうか。暑さから何も食べたくない・・・と食事をおろそかにすると栄養不足になり、さらに自律神経の乱れを引き起こしてしまい、悪循環を促します。暑気払いをして、夏バテを予防しましょう!
基本は3食を規則正しくとり、良質のたんぱく質、ビタミン、ミネラルをしっかりとること。特に汗をかくと、水分と一緒に体内のミネラル分も失われます。ミネラルはしっかりと補給して下さい。
夏の精力をつける食といえば土用丑の日に代表されるうなぎが一般的ですが、ちょっと変わったところで「甘酒」があることをご存知ですか?現在では甘酒というと正月や冬の寒い時期に飲む飲み物と思われがちですが、季語は「夏」。古代日本の宮中では暑気払いとして氷を食べたり、甘酒を飲んだりする夏の儀礼があり、江戸時代には庶民の間で夏場のカロリー補給や水分補給として広く飲まれていました。甘酒にはブドウ糖が20%以上含まれ、人間が生きていくために不可欠なビタミン類が豊富に含まれています。また、米を発酵させて作るので、必須アミノ酸も豊富。麹から由来する食物繊維やオリゴ糖で腸内環境も整える働きがあると言われています。夏バテ防止に美味しい甘酒をいただくのも良い暑気払いとなるのではないでしょうか。
甘酒 ……180cc
豆乳 ……100cc
粉ゼラチン ……5g
お湯 ……大さじ2
はちみつ ……大さじ1
お好みで、季節のフルーツ(もも、甘夏など) ……適量
粉ゼラチンをお湯にふやかし、他の材料を鍋に入れ火にかけ、沸騰直前で火からおろしてゼラチンを入れ、溶かします。
1を容器に入れ、冷蔵庫で冷やします。 お好みで、 フルーツをさいの目にし、冷えて固まった2の上に飾りましょう。
来月のテーマは、「お月見 ~行事食~」です。