生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
ストレス社会に暮らす私たち現代人にとって、こころの病気は身近な健康問題です。しかし、風邪を引いた時のようにはっきりとした体の異変に気づけないことも少なくありません。たとえ、こころの問題で悩んでいる人の多くは、ひとり悶々と過ごしているケースが少なくありません。
さらに、こころの病気に気づいていないだけでなく、自分自身がこころの病気にかかっているとは認めたくないという心理が働いてしまうケースもあります。
憂うつな気分や不安な気持ちを感じて辛くなった時、あるいは、こんなことを考えてしまうのは、いつもの自分でとは違うような気がする。と悩んでいる時に、頼りになるのがこころのお医者さんです。
では、こころのお医者さんには、どのようなものがあるのでしょうか。
「精神科」や「心療内科」などがあり、「心」や「精神」という名前が付いているので「心の病気を診てくれる」と想像できますが、厳密にいうと病状によって受診する科は異なります。
※神経内科は、脳梗塞や神経の病気など、脳や神経の気質的な異常を取り扱うかため、こころの病気は基本的に対象外となります。
こころの病気を取り扱う診療科です。精神科は、古くから統合失調症やてんかんなどの精神障害を扱ってきました。近年は、うつ病や不安障害をはじめとした精神疾患の患者が多様化しているため、精神科の中でも得意とする分野を持つお医者さんもいます。精神科という名前だと受診しにくい人も少なくないため、神経科、精神神経科、メンタルヘルス科などという名前にしている医療機関も増えてきました。
心療内科とは、精神的なストレスが身体的な症状となって現れる障害、いわゆる「心身症」を主に取り扱っています。
「内科」という文字がつくことから分かるように、体の様子を診ます。しかし、通常の内科とは違い、より専門的な知識が求められているため、ストレスによって生じる多くの内科疾患に対しては、心療内科という専門分野がますます必要とされてきています。
最初から病名がはっきりしていることはありません。あまり深刻に考えず、「とりあえず相談してみよう!」という気持ちで、受診してみましょう。
こころの健康を含めた保健、医療、福祉に関する相談、思春期問題、ひきこもり相談、アルコール・薬物依存症の家族相談など幅広い相談窓口となっています。相談方法は、電話や面談などがあります。保健師、医師、精神保健福祉士などの専門職が対応してくれます。また、相談者の要望があれば保健師などが家庭訪問し相談を受けてくれる場合もあります。
各都道府県・政令指定都市ごとに1か所以上設置されていて、「心の健康センター」などと呼ばれている場合もあります。センターは規模によりますが、医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士などの専門職がいます。こころの健康について相談、精神科医療についての相談、社会復帰についての相談、アルコール・薬物依存症の家族相談、ひきこもりなど思春期・青年期問題の相談、認知高齢者相談など、精神保健福祉全般にわたる相談を受けてくれます。面接だけでなく電話でも相談することができます。
日本では1971年にボランティア相談による電話相談が東京で開始されました。自殺予防だけではなく、孤独や災害で辛い思いをしている人などが、再び生きる力を取り戻せるような支援活動が行われています。
2022年には、全国のいのちの電話は50か所となり、約5,800名の相談員が電話やインターネットで相談活動を行っています。