生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
神経症には次の5つの典型的な病型があり、それぞれ特徴があります。
それぞれ独立した症状でありながら、混合して現れたり、移行し合うこともあります。また、身体疾患に合併することもあります。
今回は、 3.脅迫、解離・転換状態 を詳しく見てみましょう。
脅迫状態とは、脅迫性障害(従来の脅迫神経症)と呼ばれ、大丈夫だと思いながら万に一つの危険を恐れる気持ち(強迫観念)と、その危険を除いて不安を打ち消すための行動(脅迫行為)に悩む状態をいいます。
恐れの対象は様々ですが、近年、汚れや細菌を恐れる不潔恐怖が増えています。その範囲は手や体から、食器や炊事用具、衣類や環境全体に及ぶこともあります。しかし、身の回りの全てを清潔にするのではなく、食器洗いには熱中しても部屋は汚れているといった、一見矛盾するようなケースが多く見られます。
汚れや細菌を恐れる不潔恐怖など、自分の恐怖の対象が目で見て確認できないと、「手は必ず3回洗う」というように自分の決め事を作り、実行することで安心を得ようとします。その行為を途中で邪魔されると不安に襲われます。
発症年齢の幅は広く、15歳~40歳が最も多いです。症状は年代によっても異なります。男女比はほぼ1:1です。
原因は不明ですが、脳内でのセロトニンが関与するという説が主流です。そのほか、本人の素因や性格、受験、結婚、出産、育児、親子関係、友人関係といった、様々なストレスが関与する場合があります。
SSRIのひとつであるフルボキサミン(脅迫性障害に対し、日本で唯一認証されている薬)による薬物療法と、危険を恐れる気持ちが生じるパターンを説明するモデルを作り、他の考え方ができるような工夫をしていく認知行動療法があります。また、日本で開発された森田療法も有効です。
初期は本人が全く話さないことがあり、発見するのが困難です。脅迫症状が進むと、家族を巻き込み、自らの脅迫行為を監視させたり、代行行為をさせるといった症状が見られます。手洗いやシャワーの時間が長すぎたり、頻繁に確認行動をしている場合は、早めに専門医を受診するとよいです。
人間の心は一つのまとまりを持つとともに連続性を持っています。つまり、意識することや考えることには一つのまとまりがあり、それが自分らしさとなります。 そして、子供の頃の自分と大人の自分を比較すると、両者そこには成長がありますが、その両者は連続していてどちらも自分であるという認識(感覚)を持ちます。このように認識(感覚)が連続していることを同一性といいます。
しかし、こうしたまとまりや連続性に支障をきたすと、記憶が途切れて「空白の時間」が生じます。この間の行動は、比較的まとまっていて周囲の人には解離状態にあることに気付かれないことが多いです。
からだには問題がないのに、随意運動機能(自分の意志でその動きをコントロールできる運動機能)や感覚機能(五感)に異常をきたす障害です。突然、立てなくなったり声を出すことが出来なくなったりします。
来月のテーマは、「神経症④ ~こころがもたらす体のサイン~」です。