生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
厚生労働省によると2020年の患者調査で、うつ病を中心とした気分障害の入院・通院している人は約614万人いるといわれています。この20年で約3倍以上も増加しました。
今回は、そもそもストレスとは何か、ストレスと体の関係、さらに、ストレスとの上手な付き合い方について解説します。
ストレスとは、ゴムボールを上からギュッと押しつぶしたのと同じような状態です。下のイラストのように、ボールを手でぎゅっと押したとき、手でかけた圧力のことを「ストレッサー」、そして、それによってボールがゆがんでいる状態を「ストレス状態」といいます。
ストレッサーには、大きく2種類あり暑さや寒さ、騒音などの環境的なもの、社会や人との交流によって生じる外的ストレッサーと、緊張や不安、悩み、焦り、怒りなど心的なもの、疲労、不眠、生理的な変化や健康障害などといった内的ストレッサーがあります。
ストレスは、とかく悪者として扱われがちですが、実はストレスはなくても困ってしまうのです。
私たちの体は、臓器などの働きを調整する「自律神経」、ホルモン分泌を司る「内分泌」、外部から侵入する異物から体をまもる「免疫」の3つの働きのバランスを保ち、自らの体を環境に適応させて、安定させるために「ホメオスタシス(生体恒常性)」という自然に備わった機能を持って健康を維持しています。
ホメオスタシスとストレッサー
ストレッサーを感知すると、脳からその情報が伝わり、自律神経と内分泌にも伝えられていきます。
自律神経は、体の内外からのストレッサーに反応をして、生命をいじするために様々なな働きを制御する役割があります。例えば、緊張している時には呼吸や心拍数、血圧、体温を上げて体を奮い立たせます。逆に、リラックスした状態にするために、呼吸や心拍数をゆっくりにすることで元の穏やかな状態に戻そうとしたりします。これのバランスが上手くとれていると体は適度に疲れたり、回復することができています。一方、内分泌とは特定の細胞が合成したホルモンを血中に放出すること身体機能の調節や様々な制御を行い、生命や生殖に関わる指示を出す大切な化学物質です。
ホルモンは、ホメオスタシスを維持するために重要な役割を果たしていますが、栄養不足や偏った食生活、過剰なストレッサーによって、正常に分泌されなくなってしまうので、注意が必要です。
ストレスに心身が振り回されないようにするために、自分のストレス状態をよく知ることが一番の近道です。
~ いくつ当てはまるかチェックしてみましょう! ~
当てはまったからと言って、それが悪いことと捉えず、自分のクセを知る機会にしましょう。
ストレスを受けている状態では、眠れない、お腹が痛くなる、怒りっぽくなるなど、何かしらストレスサインが出ているものです。
こうしたサインが出ているからといって、こころの病気というわけではありませんが、気づかないままストレスを受け続けると、さらに調子を崩してしまうこともあります。まずは、自分のストレスサインを知っておくことが大切です。
そして、そのサインが出ていないかどうか、ときどき自分の状態を観察し、ストレスサインに耳を傾けてみましょう。
ストレスに気づいたら、休息を取ったり、気分転換をするなどのセルフケアが早めにできるようになります。
ストレスを感じやすいなと感じてた方は、何となく自分の考え方や行動のクセが分かったのではないでしょうか。
ここからは、〇〇をしなければならない!と思いがちな人は自分にはこれが出来そうだからやってみよう!というように、頭を柔軟にしてちょっとだけ言葉を変えてみてはどうですか?同じことをするのに、何だか気持ちが少しだけ軽くなると思います。さらに、困った時やうまくいかない時は、周りの人に相談して助けやアドバイスをもらってみましょう。自分が思い浮かばなかった簡単な方法や楽しいやり方が見つかるかもしれません。
来月のテーマは、「神経症① ~こころがもたらす体のサイン~」です。