健康管理情報

今日からはじめる健康づくり⑥ 尿検査 ~検査結果の見方・生かし方~

2004年9月号
更新)
今日からはじめる健康づくり

血液生化学検査

今回は、尿検査を詳しく見てみましょう。

※ 各基準値は検査機関によって異なります。

日ごろ、不要となったものを尿として何気なく排泄していますが、ここには体の情報がたくさん入っています。

尿たんぱく
基準値
定性検査 陰性 (-)
定量検査 男女:5~10 mg/dl

 

検査の目的

健康な人の尿には、ごくわずかなたんぱく質が含まれていますが、腎臓や尿道に異常があると、一定量異常のたんぱく質が出ます。
検査方法には次の2つがあります。

定性検査 尿にたんぱく質が出ているかどうか調べる。
定量検査 尿にどのくらいの量たんぱく質が出ているか調べる。

 

基準値がはずれた場合

多い場合は、急性・慢性の腎炎、ネフローゼ症候群、尿道や膀胱の炎症、結石、腫瘍が疑われます。

注意すること!!

基準値を超えるたんぱく尿が出た場合は、尿沈渣など詳しい検査を受けて、腎臓の状態を把握することが大切です。
たんぱく尿の中には、生理的たんぱく尿と呼ばれるものもあります。発熱をしたとき、激しい運動をした後、長時間立った姿勢をとった後、高たんぱくの食事を摂った後は、たんぱく尿が出ることがありますが、心配はいりません。
また、女性では月経の前後に一時的に尿中のたんぱく質が増えることがあります。

 

尿潜血
基準値
定性検査 陰性 (-)

 

検査の目的

尿中に血液が出ていないか調べて腎臓や尿道、膀胱、前立腺などに炎症性の疾患や結石、腫瘍の有無を判断します。

基準値がはずれた場合

プラスの場合、腎臓、尿管、膀胱、前立腺の炎症や結石、腫瘍などが疑われます。

 

尿糖
基準値
定性検査 陰性 (-)
定量検査 男女:20 mg/dl 以下

 

検査の目的

尿中の糖の量を調べます。糖尿病のスクリーニングとして欠かせない検査です。

基準値がはずれた場合

定性検査がプラスで、定量検査が基準値以上になった場合は、糖尿病、甲状腺機能亢進症、脳血管障害などが疑われます。

注意すること!!

尿の検査だけで病気を特定するのは難しいので、必ず血液検査など他の検査と合わせて診断することが大切です。例えば、「腎性糖尿」といって、血糖値は基準範囲内でも尿糖が出てしまうこともあります。

 

尿沈渣
基準値

尿の沈殿物の中に何もないか、または、赤血球、白血球数がそれぞれ5個以下

検査の目的

尿を試験管に入れて遠心分離器にかけて、底に沈殿した固形物を調べます。尿検査で異常が認められた場合に、その原因を追求するために必ず行われる検査です。

基準値がはずれた場合

赤血球が多い場合は、腎炎、尿路結石、腎腫瘍、動脈硬化などが疑われます。
白血球が多い場合は、腎盂炎、膀胱炎、尿道炎などが疑われます。

注意すること!!

薬を服用している場合、特殊な結晶がでることもあります。

コラム ~生活の中でできる尿のセルフチェック~

尿量のチェック

健康な成人の1日の尿量は、約1000~1500mlですが、その量が極端に多くなったり少なくなったりした場合は、さまざまな病気が疑われます。
尿量が多い場合2500ml/日以上を多尿と呼びます。ホルモンのはたらきの異常で起こる尿崩症は、1日の尿量が5000ml以上になることもあります。また、糖尿病でも多尿がみられます。

尿の色やにおいのチェック

健康な尿の色は、薄い黄色で透明です。しかし、たくさん汗をかいた後は、尿の色が褐色に近いほど濃くなり、水分をたくさん取った後は、無色に近い色になりますが、これは生理的なものなので心配いりません。
しかし、水分を取り過ぎていないのに毎日無色の尿がたくさん出る場合は糖尿病が心配されます。また、汗をかいていないのに尿の色が褐色な場合は、肝臓病の疑いがあります。

血尿のチェック

血尿は必ずしも真っ赤な色ではなく、茶褐色の場合が多いです。

たんぱく尿のチェック

たんぱく尿が出ていると、便器にたまった尿の泡がなかなか消えないことがあります。

検査前の注意

  1. 清潔にしておく
  2. 生理中の時はその旨を伝えておく
  3. ビタミンCを含む物はなるべく避ける。
    (糖、潜血が陽性なのに陰性となってしまう可能性があります)

 

コラム ~おはぎ~

お彼岸には、ご先祖様の供養とお墓参りをしますが、おはぎがつきものですね。あずきの粒を萩の花に見立てて名づけられたそうです。

あずきの種類には、粒が大きめな「大納言」と小さめな「普通のあずき」がありますが、その主成分はたんぱく質です。その他に炭水化物、食物繊維も含まれますが、特徴的なのがビタミンB1とカリウム、サポニンです。

ビタミンB1は糖分の代謝を促し、体内に疲労物質が溜るのを防ぐはたらききがあるので、夏の疲れを回復してくれます。

カリウムやサポニンは利尿作用が高く、むくみにはおすすめです。また、サポニンはコレテロールや中性脂肪をコントロールする作用もあるので、高脂血症や高血圧対策によいですね。

むくみ解消レシピ

「冬」という文字がつきますが、れっきとした夏野菜です。きゅうりと同じウリ科の植物で、水分が豊富で体熱を下げる効果もあります。 昔から利尿効果があることが知られていて、民間薬として使われています。 また、種はリノール酸を含み、漢方薬に配合されて、利尿薬、消炎剤、緩下剤として利用されます。
冬瓜の葛煮
材料
  • 冬瓜 ……600g

  • えび ……80g

  • 鶏肉 ……200g

  • 干椎茸 ……2枚

  • 干椎茸のだし汁 ……480cc

  • 枝豆 ……1/3カップ

  • 調味料

  •  しょうゆ ……小さじ1

  •  酒 ……大さじ1

  •  塩 ……少々2枚

  •  片栗粉 ……大さじ1

作り方

  1. 1

    冬瓜の皮を厚めにむき、わたを取り除いてから3cm角に切る。

  2. 2

    えびの殻をむき、背わたを取り除いてから1cmくらいの大きさに切る。

  3. 3

    干し椎茸を水で戻し、1cm角に切る。

  4. 4

    圧力鍋に冬瓜、干し椎茸、だし汁、調味料全てを入れ、ふたを閉めて2分間火にかけた後、8分蒸らす。

  5. 5

    えびと枝豆を入れてから、水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。

来月のテーマは、「ストレスを感じていますか? ~こころがもたらすからだの病気~」です。