健康管理情報

今日からはじめる健康づくり⑤ 血液検査その3 ~検査結果の見方・生かし方~

2004年8月号
更新)
今日からはじめる健康づくり

血液生化学検査

血液検査には、体の状態を知るために血液に含まれる成分の量や質を調べる血液一般検査と心臓や肝臓、腎臓などの臓器をチェックするために血清中の物質を分析して調べる血液生化学検査があります。

A. 血液一般検査 体の状態を知るために血液に含まれる成分の量や質を調べる
B. 血液生化学検査 心臓や肝臓、腎臓などの臓器をチェックするために血清中の物質を分析して調べる

今回も前回に引き続き、B. 血液生化学検査 を詳しく見てみましょう。

※ 各基準値は検査機関によって異なります。

血清アミラーゼ
基準値
男女 60~190 (IU/dl)

 

検査の目的

アミラーゼはジアスターゼと同じ酵素で、膵臓に最も多く含まれています。膵臓機能障害の早期発見に役立ちます。
血清アミラーゼだけでなく、血清と尿の療法のアミラーゼを調べると判断の目安がつきます。この二つの検査は、膵臓の検査に特に欠かせないものです。

基準値がはずれた場合

多い場合は、急性膵炎、膵臓がん、腹膜炎、耳下腺炎などが疑われます。
少ない場合は、膵臓病、肝硬変、進行した糖尿病などが疑われます。

注意すること!!

膵臓は、暴飲暴食などにダメージを受けやすく、一度傷つくとその回復に時間がかかります。なかでもアルコールに大きな影響を受けやすいです。膵臓の病気は気付きにくいという特徴もあるので、長年の飲酒習慣がある人でお酒を飲んだ後決まって下痢をするようになった場合などは、一度アミラーゼの検査でチェックする必要があります。

 

血清総たんぱく質
基準値
男女 6.5~8.0 g/dl

 

検査の目的

血清中に含まれているたんぱく質の総量を測り、肝臓、腎臓の機能に異常がないか、また、からだの栄養状態などを見る検査です。

基準値がはずれた場合

多い場合は、急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝性障害などが疑われます。

 

クレアチニン
基準値
0.8~1.3 (mg/dl)
0.5~0.9 (mg/dl)

 

検査の目的

腎臓の機能低下の程度を調べる検査です。クレアチニンは、筋肉内でエネルギーとして使われたたんぱく質の燃えかすで、腎臓でろ過されて尿として排泄されます。しかし、腎臓機能が低下すると、血液中に出てきてしまいます。

基準値がはずれた場合

多い場合は、急性腎炎、慢性腎炎、腎臓結石、腎盂腎炎、前立腺肥大症などが疑われます。
少ない場合は、尿崩症、筋ジストロフィーなどが疑われます。

注意すること!!

10mg/dl以上になると、人工透析が必要となります。

 

尿酸
基準値
3.0~7.0 (mg/dl)
2.5~6.0 (mg/dl)

 

検査の目的

尿酸の濃度をはかる検査です。血液中に尿酸が多すぎる状態を高尿酸血症、これが長く続くと痛風なります。

基準値がはずれた場合

多い場合は、尿高酸血症、痛風、腎機能障害、前立腺肥大症などが疑われます。
少ない場合は、アルコール性肝障害、糖尿病性腎症の初期などが疑われます。

注意すること!!

高尿酸血症は、心臓や腎臓、肝臓などにダメージを与えるので、8mg/dl以上は治療が必要となります。プリン体を多く含む食品を好んで食べたり、激しい運動をすることによって値が高くなります。

 

空腹時血糖
基準値
男女 60~110 (mg/dl)

 

検査の目的

血液中のブドウ糖の量を測り、糖尿病をチェックします。

基準値がはずれた場合

多い場合は、糖尿病、急性膵炎、肝硬変などが疑われます。
少ない場合は、インスリノーマ、甲状腺機能低下症などが疑われます。

注意すること!!

糖尿病を放置すると、合併症が現れて全身に障害を及ぼします。そのため、早期発見早期治療をすることが大切です。数値が基準値を上回っていたら、まずブドウ糖負荷試験などの再検査が必要となります。
空腹時の血糖値が140mg/dl以上になると治療が必要となります。

 

総コレステロール
基準値
男女 120~220 (mg/dl)

 

検査の目的

血液中の脂質のひとつであるコレステロールの量を測り、動脈硬化をチェックします。

基準値がはずれた場合

多い場合は、高脂血症、動脈硬化、糖尿病などが疑われます。
少ない場合は、肝硬変、栄養障害などが疑われます。

注意すること!!

体内のコレステロールのうち80%は肝臓で作られます。ですから、数値が高めの場合は、コレステロールや飽和脂肪酸の少ない食事をするように心がける必要があります。

 

中性脂肪(トリグリセライド)
基準値
男女 40~130 (mg/dl)

 

検査の目的

コレステロール同様、多すぎると動脈硬化を促進します。

基準値がはずれた場合

多い場合は、動脈硬化、高中性脂肪血症、高血圧症、糖尿病、脂肪肝、アルコール性肝障害などが疑われます。
少ない場合は、慢性肝障害、栄養不良などが疑われます。

注意すること!!

中性脂肪は、炭水化物や動物性脂肪などでつくられ、からだの中ではエネルギーとして使われますが、余った分は内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられます。適正体重の維持を心がけましょう。

 

コラム ~コレステロールのはたらき~

からだの中のコレステロールは、一般的に「善玉」と「悪玉」の2つの名前で呼ばれることが多いです。特に、「悪玉」は悪いイメージがありますが、実はからだの中で、

  • 細胞膜をつくる
  • ホルモンの原材料となる
  • 胆汁酸の原材料となり、消化作用を助ける

など、とても重要なはたらきをしているのです。しかし、過剰になると体内に蓄積されて動脈硬化を促進します。現代の食生活のあり方がコレステロールに対する間違った意識を植え付けてしまっているのです。「善玉」と「悪玉」のバランスに気を付けることが大切ですね。

 

夏のコレステロールコントロールレシピ

夏野菜たっぷりイタリアン
材料
  • なす ……3本

  • エリンギ ……1本

  • にんにく ……1かけ

  • ピーマン ……2個

  • トマト ……中2個

  • たかのつめ ……1本

  • パプリカ ……1個

  • たまねぎ ……1個

  • ベーコン ……3枚

  • ズッキーニ ……1本

  • A

  •  塩、こしょう、バジル ……適量

  • B

  •  バルサミコ酢 ……大さじ1

  •  ウスターソース ……大さじ2

  •  オリーブオイル

作り方

  1. 1

    野菜とベーコンを3cmくらいの大きさに切りそろえる。にんにくは芯をとって薄切りにし、たかのつめは種をとって半分に折る。

  2. 2

    フライパンにベーコン、にんにく、たかのつめを入れ、オリーブオイルで香りが出るまで炒める。

  3. 3

    ②の中にトマト以外の①を入れ、火が通るまで炒めてからA、B、トマトを入れて軽く炒める

来月のテーマは、「今日からはじめる健康づくり⑥ 尿検査 ~検査結果の見方・生かし方~」です。