健康管理情報

今日からはじめる健康づくり④ 血液検査その2 ~検査結果の見方・生かし方~

2004年7月号
更新)
今日からはじめる健康づくり

血液生化学検査

血液検査には、体の状態を知るために血液に含まれる成分の量や質を調べる血液一般検査と心臓や肝臓、腎臓などの臓器をチェックするために血清中の物質を分析して調べる血液生化学検査があります。

A. 血液一般検査 体の状態を知るために血液に含まれる成分の量や質を調べる
B. 血液生化学検査 心臓や肝臓、腎臓などの臓器をチェックするために血清中の物質を分析して調べる

今回は、B. 血液生化学検査 を詳しく見てみましょう。

※ 各基準値は検査機関によって異なります。

GOT (AST)
基準値
男女 35 (IU/l)未満

 

検査の目的

GOTは、心臓、肝臓、骨格筋、腎臓などに多く含まれ、アミノ酸の造成を促す酵素です。血液中にGOTが多く放出されるといういことは、心臓や肝臓などに炎症や腫瘍、飲酒などが原因で障害が起きている可能性があります。

基準値がはずれた場合

多い場合は、急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、心筋梗塞、筋疾患などが疑われます。

注意すること!!

検査前の飲酒や運動に影響されやすいので、これらは控えましょう。

 

GPT (ALT)
基準値
男女 35 (IU/l)未満

 

検査の目的

GOT同様、アミノ酸の造成を促す酵素で、肝臓に最も多く含まれています。肝機能障害の早期発見に役立ちます。

基準値がはずれた場合

多い場合は、急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝性障害などが疑われます。

注意すること!!

GOTとともに、検査前の飲酒や運動に影響されやすいので、これらは控えましょう。

ALP(アルカリフォスファターゼ)
検査の目的

肝臓、骨、小腸、腎臓、胎盤などに多く存在する酵素です。

基準値がはずれた場合

多い場合は、急性肝炎、慢性肝炎、胆石、胆道がん、骨疾患などが疑われます。

注意すること!!

ALPとともにGOT、GPTに異常値が見られるときは、肝臓や胆道の疾患が考えられ、GOT、GPTが正常のときは、骨の疾患が考えられます。

 

LDH(乳酸脱水素酵素)
基準値
男女 200~480 (IU/l)

 

検査の目的

糖がエネルギーに変わるときに働く酵素の1つです。各種臓器に広く分布し、特に肝臓、心臓、筋肉、腎臓などに多く含まれます。また、赤血球、白血球、血小板にも存在しています。他の肝機能検査とあわせて判断されます。

基準値がはずれた場合

多い場合は、急性肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、心筋梗塞、うっ血性心不全、肝がん、膵がん、悪性貧血などが疑われます。

注意すること!!

妊娠や運動などによって変動しやすいです。異常値が出たら、さらに詳し意見さが必要となります。

 

LAP(ロイシンアミノペプチターゼ)
基準値
男女 30~80 (IU/l)

 

検査の目的

胆道から排泄されるたんぱく質を分解する酵素です。肝臓や胆道の病気を診断する手がかりとなります。

基準値がはずれた場合

胆汁うっ滞・肝腫瘍・急性肝炎・肝道疾患・一過性膵炎などが疑われます。
 

γ -GTP
基準値
男女 50 (IU/l)未満

 

検査の目的

たんぱく質を分解する酵素で、飲酒による肝胆道系障害に敏感に反応します。

基準値がはずれた場合

多い場合は、急性肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、肝がん、急性膵炎、慢性肝炎などが疑われます。

注意すること!!

多量の飲酒をする習慣のある人は、数日間禁酒をしてから再検査をすることもあります。検査の結果によってはアルコールの量を制限されたり、禁酒を勧められることもあります。

 

CHE(コリンエステラーゼ)
基準値
男女 180~440 (IU/l)

 

検査の目的

肝臓でしかつくられない酵素なので、肝臓機能をみることができます。

基準値がはずれた場合

多い場合は、ネフローゼ症候群・甲状腺機能亢進症・糖尿病・脂肪肝が疑われます。
少ない場合は、肝臓病・肝細胞がんが疑われます。極めて低い値では、農薬(有機リン)中毒が考えられます。

 

コラム ~肝臓とアルコール~

暑い夏に入り、お風呂上りに冷たいビールを一杯・・・という楽しみを持つ方は多いのではないでしょうか。

アルコールは「百薬の長」といわれ、代謝を活発にしたり、気分をリラックスさせたりする作用があります。しかし、短時間に大量のアルコールを飲んだり、毎日多量のアルコールを飲む習慣は、循環器や消化器、神経系に大きな影響を与え、精神的、身体的依存を招いてしまうこともあります。

アルコールは消化管のどこからでも吸収され、その大部分は肝臓で分解されるため、多量の飲酒は肝臓に負担をかけるのです。その結果、アルコール性肝性障害(特に脂肪肝)となります。

毎日多量の飲酒をする習慣のある人は、栄養の大部分をアルコールから摂取しており、栄養のバランスが崩れていることが多いので、規則正しい食事による栄養状態の改善と節酒あるいは禁酒が必要です。

※ 適量とされているアルコールの1日摂取目安量は20~25gです!!

お酒の種類 度数 アルコール量 カロリー
ビール
(大びん1本633ml)
5.0% 25g 253kcal
ウイスキー
(ダブル60ml)
40.0% 19g 132kcal
ブランデー
(ダブル60ml)
40.0% 19g 132kcal
ワイン
(1杯120ml)
12.0% 11g 90kcal
焼酎25度
(1合180ml)
25.0% 36g 248kcal
清酒
(1合180ml)
15.0% 21g 202kcal

 

 

夏のお酒の友レシピ

お酒の友として、肝臓の機能をよくするといわれる良質のたんぱく質とビタミンA、B群、Eを多く含む食品がオススメです。特に、アルコールは体内のビタミンB1の消耗を促進するので、積極的に取り入れましょう。 枝豆は夏が旬の食材であり、たんぱく質やビタミンB群を豊富に含むので、味覚の点からも栄養学的にも理にかなった食材です。 上手なお酒との付き合い方 ・ 栄養のバランスの良いおつまみを食べながら…。 ・ 自分のペースでゆっくりと。 ・ 週に2日は休肝日を。
枝豆と茄子の味噌炒め
材料 (2人分)
  • なす ……1本

  • 枝豆 ……10さや

  • 豚肉 ……中1枚

  • 赤味噌 ……小さじ2

  • ごま油 ……小さじ1

  • 砂糖 ……小さじ1

作り方

  1. 1

    なすは一口大の乱切りにして水にさらす。

  2. 2

    枝豆は湯をかけ、豆を出す。

  3. 3

    ごま油をひいて、水切りしたなす、豚肉、枝豆をいため、赤味噌と砂糖を水で溶いて加える

来月のテーマは、「今日からはじめる健康づくり⑤ 血液検査その3 ~検査結果の見方・生かし方~」です。