生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
血液は血球と血清から成り立ちます。
血球 | 血球とは、赤血球・白血球・血小板のことで、全血液成分中の約45% を占めます。 |
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血清 | 血清とは血液中の血球成分等を除いた液体部分の事をいいます。この液体部分には菌やウィルスから体を守るための様々な成分が含まれています。 |
絵のように、血液をしばらく置いておくと上の方に現れた少し黄色みがかった透明な液体部分が「血漿(血清)」で、下の赤い部分が「血球」です。
血液のはたらきには以下のものがあります。
このように休むことなく体中を循環し、健康維持に重要な役割を果たしています。ですから、血液に含まれる成分を調べることで、体のあらゆる情報を得ることができます。つまり、その人の健康度や病気のシグナルを捉えることができるのです。
血液検査には以下のものがあります。
A. 血液一般検査 | 体の状態を知るために血液に含まれる成分の量や質を調べる |
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B. 血液生化学検査 | 心臓や肝臓、腎臓などの臓器をチェックするために血清中の物質を分析して調べる |
今回は、A. 血液一般検査 を詳しく見てみましょう。
※ 各基準値は検査機関によって異なります。
男性 | 420~570 万個/mm3 |
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女性 | 380~500 万個/mm3 |
赤血球の数を調べます。
血液が赤いのは、赤血球の中のヘモグロビン(血色素)と呼ばれるたんぱく質の色です。ヘモとは鉄、グロビンはたんぱく質の一種であり、赤血球にはこのヘモグロビンがたくさんつまっています。
ヘモグロビンのはたらきは、体内に酸素を運搬することです。吸い込まれた酸素と肺で結合して血液循環によって体内の組織に供給するのです。
少ない場合は、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、悪性貧血などが疑われます。特に、男女とも赤血球が血液1mm3中200万個以下の場合は、重症な貧血となります。
赤血球が血液1mm3中600万個以上と多い場合は、多血症で、血液が流れにくくなり、血管が詰まりやすくなります。
貧血は、胃潰瘍や大腸がんによって少しずつでも長期間出血が続くなど、何かしらの原因疾患が原因となり、気付かないうちに貧血が進んでいることもあります。特に、女性の場合は月経だけではなく、子宮筋腫があると貧血を起こしやすいので早い段階で治療を受けることが大切です。
男性 | 13.5~18.0 g/dl |
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女性 | 11.5~16.0 g/dl |
赤血球の数、赤血球中のヘモグロビン濃度、血液全体に対する赤血球の容積比率を検査し、貧血の診断に応用します。
少ない場合は、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、悪性貧血などが疑われます。特に、男女とも赤血球が血液1mm3中200万個以下の場合は、重症な貧血となります。
赤血球が血液1mm3中600万個以上と多い場合は、多血症で、血液が流れにくくなり、血管が詰まりやすくなります。
男性 | 40~52 % |
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女性 | 33~45 % |
少ない場合は、貧血、白血病などが疑われます。
多い場合は、多血症や赤血球増加症などが疑われます。
赤血球数、ヘマトクリット、ヘモグロビンの三つの検査は、この血液中の血球の状態を調べるもので、貧血の診断のために行われます。三つの検査結果を総合し、赤血球の状態を判断します。
赤血球は白血球や血小板と一緒に骨髄でつくられ、その寿命は120日です。古くなった赤血球のヘモグロビンは、鉄やたんぱく質、色素に分解され、再び体内で利用されます。このような赤血球の生成から分解までの過程で何らかの生涯が加わると、ヘモグロビンが減少して貧血となります。
男女 | 3500~9000 個/mm3 |
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白血球の数を調べます。
たくさん集まると白っぽく見えることから名付けられました。大きく分けて顆粒球、リンパ球、単球となります。顆粒球はさらに好中球、好酸球、好塩基球に分けられますが、好中球とリンパ球の数が最も多く、全体の約90%を占めています。
白血球のはたらきは、細菌や異物から体を守ることです。主に好中球と単球によって行われます。リンパ球は免疫能力をもっていて、抗体を作って病気を排除するはたらきをします。
少ない場合は、病原体に感染しやすくなります。また、再生不良性貧血、肝硬変、膠原病が疑われます。
多い場合は、感染症や炎症を起こしています。腎不全、心筋梗塞、各種の炎症(扁桃炎、歯茎の炎症、肺炎、胃腸炎、虫垂炎など)が疑われます。特に、白血病などで骨髄が異常増殖すると、極端に増加します。
白血球は、激しい運動をした後、食後や入浴後、強いストレスを受けた場合などに数値が高くなりやすい傾向にあります。検査を受ける時は、安定した生理状態を保つように心がけましょう。
男女 | 13~37 万個/mm3 |
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血小板の数を調べます。
血小板のはたらきは、血管が傷ついて出血した場合、血小板が凝集し血栓を作って止血することです。数が少な過ぎると、なかなか血が止まらなくなり、逆に多すぎると、血栓を作ってしまったりします。
少ない場合は、血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血、悪性貧血、肝硬変などが疑われます。5万個以下になると鼻血や歯茎からの出血が多くなり、3万個以下になると腸管出血や脳出血が起こる危険が高くなります。
多い場合は、白血病、多血症が疑われます。
強いストレスを受けると、血小板がはたらき過ぎて血液が凝固しやすくなるといわれます。また、抗生物質や抗がん剤の影響で減少することもあります。
男性 | 12 mm/時 |
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女性 | 15 mm/時 |
血沈とは、正しくは赤血球沈降速度といい、血液沈降速度を略したものです。血液が固まらないように凝固防止剤を加えた血液中の赤血球が、細いガラス管の中でどのくらいの速さで下に沈むかを見ます。時間が経つとガラス管の下の方に赤血球が沈み、淡黄色の血漿部分が上の方に分離してきます。
沈む速度が速い場合は、高度の貧血や心筋梗塞、各種の炎症(扁桃炎、歯茎の炎症、肺炎、胃腸炎、虫垂炎など)が疑われます。特に、50mm以上などとても速く沈む場合には、肺結核、慢性関節リウマチなどの膠原病が疑われます。
来月のテーマは、「今日からはじめる健康づくり④ 血液検査その2 ~検査結果の見方・生かし方~」です。