健康管理情報

今日からはじめる健康づくり② 血圧測定 ~検査結果の見方・生かし方~

2004年5月号
更新)
今日からはじめる健康づくり

血圧について

高血圧症は,日本で最も多い病気のひとつです。自覚症状がないままに脳卒中や心臓病、腎臓病などの死を招く病気を進行させてしまいます。これが高血圧症が「サイレントキラー(沈黙の殺人者) 」と呼ばれる理由です。
血圧は健康のバロメーターといわれます。高血圧の原因は、加齢や遺伝などと関係が深いのですが、肥満や食生活、ストレス、喫煙などの影響も明らかです。

 

血圧とは

血圧とは、心臓のポンプ作用によって送り出される血液が、動脈の内壁にかける圧力のことです。収縮と拡張を繰り返して血液を送り出しているので、常に圧力がかかっています。
血圧値は、この心臓の拍動とともに変化します。

心臓が収縮したときの値 「収縮期血圧」
「最高血圧」
心臓が拡張したときの値 「拡張期血圧」
「最低血圧」

 

※ 単位は、水銀柱の高さ(mmHg)で表されます。

血圧値判定の基準

重症高血圧・中等症高血圧

動物性脂肪、塩分など、食生活に十分注意が必要。身体をこまめに動かし、しっかり睡眠をとること。医師の指示にしたがって、生活の改善をする。

軽症高血圧・高値正常

不摂生が続くと、すぐに中等症高血圧に移行しやすい危険ゾーン。たばこや塩分、脂肪分のとり過ぎ、ストレスや肥満などに気をつけること。

正常血圧

血管は年齢とともに老化するもの。これからも今の状態を保つために栄養、運動、休養に留意すること。

☆ 基準値をはずれた場合に疑われる疾患
高い場合 高血圧症・動脈硬化
低い場合 心不全・強度の貧血

高血圧が続くと、体の各臓器の血管がもろくなり、動脈硬化が進みます。その結果、脳卒中や心筋梗塞、心不全、腎不全などが起こりやすくなります。

1回や2回の血圧測定で高血圧だったとしても、それだけでは本当の高血圧症とはいえません。
血圧が高い場合には、まず詳しい問診や診察と血圧測定の繰り返しによって、ふだんの血圧も高いのかどうか(真の高血圧症かどうか)をチェックする必要があります。それと同時に高血圧症であるなら、それが遺伝が要因となる本態性高血圧症なのか、他の病気が引き金となる二次性高血圧症なのか判断することも大切です。

問診のポイント

  • 高血圧と心血管疾患の家族歴
  • 心血管疾患、脳血管疾患、腎疾患あるいは糖尿病の既往歴
  • 高血圧の程度とその持続時間
  • 前に行った降圧治療の効果と副作用
  • 血圧に影響を与える薬(例えば経口避妊剤)の使用
  • 食塩やアルコールのとり方、喫煙、肥満、高脂血症などの有無
  • 二次性高血圧症を疑わせる症状(脱力感、多尿、頭痛、多毛など)
  • 社会心理学的因子と環境因子(精神的ストレス、食習慣および経済状態など)

 

高血圧症と判断された場合は、簡単なスクリーニング検査が行われます。

スクリーニング検査の目的
  1. 高血圧による血管障害の程度を把握する
  2. 二次性高血圧の手がかりをつかむ
    • 二次性高血圧の場合、判定診断のための精密検査
    • 本態性高血圧の場合、合併症の有無、程度を把握する検査

 

高血圧のスクリーニング検査-1
  • 尿検査
  • 血液検査
  • 眼底検査
  • 心電図検査

 

高血圧のスクリーニング検査-2
  • 血清
  • 総コレステロール
  • HDL(善玉)コレステロール
  • 中性脂肪
  • 尿酸
  • 血糖値→耐糖能検査

 

食塩感受性とは!?

食塩感受性が高い人は、食塩を取ると血圧が敏感に反応しやすいタイプです。腎臓からのナトリウム排泄機能に異常が生じ、ナトリウムが体内に蓄積した結果、血圧が上がります。

一方、食塩非感受性の人は、腎臓のナトリウム排せつ機能が正常に働くので、体内に入った余分なナトリウムは、4~5日経つと、全て排泄されてしまうため、血圧への影響は少なくなります。その意味では食塩摂取に厳しい制限は必要ないのですが、塩分の多い食事をすると、主食が進んで食べ過ぎを招く可能性があります。肥満予防のためにも、1日10g未満を目標にしましょう。
ちなみに、血液検査で食塩感受性の有無を調べることは可能ですが、まだ一般化されていないのが現状です。

加工食品やインスタント食品の摂取の仕方には注意が必要です。食べる量と頻度をなるべく減らすように努力しましょう。また、汁物や麺類の汁にも塩分は多いので、毎食汁物をつけると減塩が厳しくなります。 調味料の使い方にも工夫が必要です。塩だけを使うよりも、しょうゆや味噌などの調味料を使ったほうが塩分を抑えることができます。だし醤油やしょうゆと酢を合わせるのもおすすめです。

 

調味料 目安量 食塩相当量( g )
食塩 小さじ1杯=5g 5.0
濃口しょうゆ 小さじ1杯=5g 0.9
薄口しょうゆ 小さじ1杯=6g 1.0
ウスターソース 大さじ1杯=16g 1.4
中濃ソース 大さじ1杯=16g 0.9
味噌(辛口) 大さじ1杯=18g 2.3
味噌(甘口) 大さじ1杯=18g 1.1
トマトケチャップ 大さじ1杯=18g 0.6
マヨネーズ 大さじ1杯=14g 0.3

 

コラム ~血圧は1日のうちで変化する~

血圧は終日一定の状態を維持しているわけではありません。1日のうちでも高くなったり低くなったりします。これを「血圧の日内変動」といいます。
朝起きてから、活動が活発になるにつれて、徐々に血圧は上昇します。夕方近くになると低下の傾向を示し、夜眠りに入り、午前3時ごろが一番低いのが一般的です。ですから、自分の正確な血圧の状態を知るためには、毎日同じ時間帯、同じ条件で測ることが求められます。

早朝は心臓へ入る血液の量は少ない上に、他の時間帯に比べて血液は粘りがある(固まりやすい)状態です。狭心症や心筋梗塞は、血流がとどこおって心臓に十分な酸素が送り込めないために発症するので、この時間帯に発作が起こりやすくなります。また、脳卒中も早朝から午前中に発症しやすいことが知られています。

家庭用血圧計の種類と使い方

家庭用の血圧計は、薬局、医療器具専門店、健康用品販売場で購入できます。

血圧計の種類
水銀血圧計
長所: 測定数値が正確である。
短所: 持ち運びが不便。
数値の読み方が分かりにくい。

 

デジタル自動血圧計(手の指で測定するもの、手首で測定するもの、上腕で測定するもの)
長所: 手軽に測定できる。
短所: 測定数値が正確に現れないこともある。

 

測定するときのポイント!!

  1. 1日に2回、決まった時間に測定する。
    (食後1時間以上経ってから測る。測る直前にコーヒーや喫煙は避ける。)
  2. 測定する腕と姿勢は同じにする。腕を締め付けないような服装で。
  3. 寒い部屋では測定しない。

 

春の血圧コントロールレシピ

そばに多く含まれる「ルチン」は、ビタミンPとも呼ばれ、抗酸化栄養素としてよく知られています。また、ルチン効能として、毛細血管を強化し、血圧を下げる効果が有名です。
そばサラダ
材料
  • そば(乾麺) ……80g

  • 鶏ささみ ……40g

  • ……2/5個

  • トマト ……1/3個

  • たまねぎ ……3/1個

  • きゅうり ……1/5本

  • わかめ ……20g

  • コーン ……20g

  • わさび ……適量

  • A

  • しょうゆ ……小さじ2

  • みりん ……小さじ1

  • ……小さじ1.1/2

作り方

  1. 1

    そばをたっぷりの熱湯で茹でて、ざるに上げる。流水で洗って水気を切る。

  2. 2

    卵を半熟に茹でる。

  3. 3

    鶏肉は少量の酒を振って蒸す。冷めたら手で裂く。

  4. 4

    トマトとたまねぎは薄切り、きゅうりは斜め薄切りにする。

  5. 5

    わかめは洗って水気を絞り、一口大に切る。

  6. 6

    器に①~④とコーンを見栄え良く盛り付け、最後に半熟卵をのせる。

  7. 7

    (A)をかけてわさびを添える。

来月のテーマは、「今日からはじめる健康づくり③ 血液検査その1 ~検査結果の見方・生かし方~」です。