健康管理情報

不眠 -クスリになる食材あれこれ-

2002年9月号
更新)
気になる症状におすすめの食材

連日の熱帯夜、寝苦しいこんな季節は寝不足になるのも当たり前ですが、仕事や勉強におわれて慢性的睡眠不足になりがちです。また、現代社会はストレスがますます増加し、「眠れない」と不眠を訴える人が増えています。

不眠には、

  1. ベッドに入っても気にかかることがあって、目が冴えて眠れない神経性不眠
  2. 心身ともにまったく原因が見当たらない精神生理性不眠
  3. 体内時計の狂いが招く睡眠相前進後退症候群などがあります。

睡眠と関係の深い物質

トリプトファンというアミノ酸は、脳に運ばれてビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムとともにセロトニンというホルモンをつくります。セロトニンは、鎮痛、催眠、精神安定などの作用のある神経伝達物質です。

そして、セロトニンは脳の松果体(しょうかたい)でメラトニンというホルモンとなります。メラトニンは夜暗くなると分泌され、体温を下げて眠りにつかせる役目をするので、体内時計を正常なはたらきにリセットしてくれます。

神経性不眠、精神生理性不眠の場合

私たちの気持ちの変化は、多くの神経伝達物質と深い連鎖関係があるようです。

セロトニンという神経伝達物質がありますが、時差ぼけ改善の有効な睡眠薬として注目されているメラトニンはこのセロトニンからできます。
この物質は落ち込んだ気分を活発にして、リラックスさせることでも知られています。多くある神経伝達物質なかでも特にセロトニンの脳内での量と私たちの気分とに深い関係があるのです。

セロトニンは肝臓でアミノ酸が分解されて作られるトリプトファンがベースになり生成されます。

睡眠相前進後退症候群の場合

多くの人は24時間周期に基づく環境の時間(昼夜の明暗によるリズム)があり、睡眠によって調節されています。しかし、夜間勤務や外国に頻繁に行く習慣、夜更かしなどによって、睡眠と覚醒のリズムがずれてくると、体内時計が狂ってしまいます。

メラトニンは体内時計を調節する作用があるといわれ、時差ぼけ改善の有効な睡眠薬としても注目されています。

安眠のための身近な食べものとして牛乳(乳製品)は有名です。
牛乳に含まれるカルシウムは、外からの刺激に対する神経の高ぶりを鎮めるはたらきを持っています。このため、不足すると神経が過敏になり、寝つきが悪い、イライラするなどの神経症状が現れやすくなります。
さらに、牛乳には眠りを誘うオピオイドペプチドが含まれています。


バナナ

バナナに多く含まれるトリプトファンは、セロトニンという眠りを導くホルモンの原料になります。

ココア

テオブロミンという主成分はカフェインに似ていますが、その作用は多少異なり、穏やかに神経系統、腎臓、心臓に作用して疲労を取り除きます。

 

カカオ豆を発酵させて、焙煎して皮を取り除き、粉末にしたものがココアです。ココアは様々な成分を含み、病気の予防と改善に役立ちます。

ポリフェノール 活性酸素を除去する
リグニン 食物繊維のひとつで、血中のコレステロールを押さえ、腸内の老廃物の排出を高める

さらに、鉄、カリウム、マグネシウム、亜鉛、銅などのミネラルに富み、
ビタミンB群を多く含みます。

栄養に優れた食品ですが、市販のミルクココアは高エネルギーで糖分や脂質が多いので、摂り過ぎると肥満や中性脂肪を増やす原因になります。

無糖のココアにはちみつや黒砂糖で少し甘味をつけ、低脂肪牛乳を利用するとヘルシーなドリンクになります。

黒砂糖

黒砂糖のカルシウムは、単独では吸収が悪いので、吸収を高め、生理作用を促すタンパク質とリンを多く含む牛乳と一緒に摂り入れると相乗効果が期待できます。

体を温めると毛細血管が広がり、血液の流れがよくなるので、緊張や興奮を解きほぐす硬化も大きくなります。ショウガの絞り汁やナツメグにもその効果があるので、一緒にとるとよいでしょう。

 

牛乳ドリンクの作り方

①牛乳カップ1を温め、そこへ黒砂糖大さじ3/4を煮溶かす。

②小麦粉とバターを各大さじ3/4ずつ練り合わせ、①に混ぜる。

③最後に、しょうがの絞り汁とナツメグを少々加える。

来月のテーマは、「貧血 -クスリになる食材あれこれ-」です。