健康管理情報

だるさ -気になるからだの危険信号-

2002年4月号
更新)
気になるからだの危険信号

だるさとは

体のだるさというものは、誰でも感じたことがあるはずです。
2、3日の休養で回復するようであればほとんどの場合、心配することはありません。

しかし、休養してもだるい、激しい運動をしたわけではないのに体がだるい、という時は、さまざまな病気の前ぶれであることがあります。医師の診察を受け、原因を解明することが大切です。

「だるい」の原因はさまざま
過度な運動や労働など、体を使いすぎた後に起こるだるさ

2~3日の休養で回復するのが特徴です。心配することはありませんが、ゆっくり休むことが大切です。

何もする気になれないだるさ

例えば、本を読んだり、テレビを見たりすることすらおっくうになってしまうようなだるさはありますか?
これは精神的な原因、つまりうつ状態にあるため起こるだるさと考えられています。
本人は本当にだるくてつらいのですが、他人にはやる気がないだけのようにみられがちなのが特徴です。

感染に伴うだるさ

例えば、風邪をひいたときなどに体がだるくなるのはかぜのウィルスに感染したため起こるものだといえましょう。

風邪をこじらせた後に起こるだるさは腎炎であることがあります。腎炎の場合のだるさは、自分の体なのに他人の体のような気がする、いわば何か所在ないという感じのものです。

そしてだるさと同時に顔がむくむ、手がはれぼったい、尿の出が悪い、頭が重い、血圧が上昇する、吐き気がするといったような症状も現れてきます。

酸素の供給不足によるだるさ

ちょっとした階段の昇り降りなどでもだるいと感じる場合があります。このようなだるさは貧血や心臓病によるものだと考えられます。

貧血にはいろいろな種類がありますが、赤血球に含まれる血色素(ヘモグロビン)が足りなくなる貧血です。血色素が不足すると、酸素が十分に運ばれなくなり、そのためいろいろな貧血症状が出てくるのです。従って筋肉への酸素の供給が不足すると、思うように体が動かず、階段の昇り降りなどでもだるいと感じるのです。

また、中高年の場合は心筋症、弁膜症、心筋梗塞の前ぶれのこともあります。血液を全身に循環させている心臓のポンプの能力が低下するために、だるく、体を動かすと息切れがします。

血液の成分変化によるだるさ

身の置きどころのないような、どうしようもないようなだるさであれば、肝臓病によるだるさでしょう。肝臓は「沈黙の臓器」とよばれ、だるさが唯一の自覚症状といえます。このサインを見逃さないようにしましょう。血液を採取し、GOT(正常値:10~40(IU/l))、GPT(正常値:5~35(IU/l))を測定しその値が高値であれば、肝臓の機能が低下してきているということになります。従って血液中の成分に変化が生じ、その変化に伴って体のだるさが現れてきているといえるでしょう。

肝臓病のほかに、ある種の血圧降下剤や漢方薬を長期にわたってのみつづけてきたような場合も、血液中の成分に変化が起き、それによってだるさを生じることがあります。薬の副作用によって、力を発揮したり筋肉が収縮するときに必要な血液成分であるカリウムやカルシウムが減少し、体にだるさを覚えます。特に高齢者に起こりやすいので、日ごろから注意するようにしてください。

※GOT、GPTの正常値は各医療機関・検査機関や検査方法になどによって若干のちがいがあります。

栄養の低下によるだるさ

食事によって摂取した栄養が体にうまく供給できないことがあります。うまく供給できない理由としては、糖尿病やがんなどの病気にかかっていることが考えられます。

糖尿病では、摂取したエネルギー源が体内で活発に活動しないため、だるさを感じるのです。これと同時に、喉が渇いたりやせたりするようなことがあったら、糖尿病を疑ってみましょう。

また、がんによる場合もあります。これは、がん細胞が体内の栄養分を奪ってしまうために起こるだるさだといわれています。だるい、という自覚症状ががんの早期発見にもつながる可能性がありますから、やはり注意が必要でしょう。

だるさを伴う病気としては他にもいくつかあります。
発熱を伴う場合

肺炎、膠原病(慢性関節リュウマチ)が考えられます。

食欲不振があるとき

胃がんの可能性もあります。

頭痛や肩こりがひどい時

疲れ目(眼精疲労)が原因です。

下半身のむくみが見られる場合

心臓の病気が考えられます。

顔やまぶたのむくみ

甲状腺機能低下症が考えられます。

40~50歳代の女性で

頭痛や肩こり、ほてりなどを伴う場合・・・更年期障害が考えられます。

休養しても回復しない時…病院で検査を受けよう

だるい、と思ったら、まずは休んでみましょう。2~3日の休養で治るようならば、過労やちょっとしたストレスによるところが多いようです。
しかし、休養してもだるさがとれず、チェックポイントに思い当たる点があれば、ただちに検査を受けましょう。 検査を受けるかどうかのポイントは次の点です。

  1. 休養すれば治るか
  2. 熱はないか?
  3. 尿の色が変わっていないか?
  4. 歩行や階段などで同じ歳くらいの人についていけるか?
  5. 体重が減っていないか?
  6. 長期にわたってのんでいる薬はないか?

中でも発熱は体の中で何かが起きていることのサインです。慎重になる必要があります。そして尿の色に注意します。紅茶をうんと濃くしたような色ならば、肝臓の病気が考えられます。
また、同年代の人に比べて疲れやすい、最近体重が減ったなどという場合にも深刻な病気である可能性があるので単なるだるさと軽んじないでまずは内科で診てもらいましょう。

来月のテーマは、「うつ病 -気になるからだの危険信号-」です。