健康管理情報

出血 ~血尿~ -気になるからだの危険信号-

2002年1月号
更新)
気になるからだの危険信号

血尿

体の中をめぐっている血液は、様々な組織や細胞からの不要物を腎臓に集めます。腎臓で濾過された不要物は尿として体から排出されます。

尿の中には様々な不要物が含まれていて、その不要物は、体内で起きた様々な現象の結果となります。

肉眼で確認できる血尿/確認できない血尿

確認できるもの
肉眼的血尿

見ただけで血尿と分かる、真っ赤な色や濃い褐色の尿が出ます

確認できないもの
顕微鏡的血尿

顕微鏡検査によって血液が尿に混入していることが分かります

尿潜血

試験紙によって赤血球の有無を検討します

試験方法

尿に試験紙を浸してすぐに引き上げ、比色紙に照らし合わせます。

検査結果の見方

陽性/陰性 を判定します。

出血の反応があれば試験紙の色が変化する。反応が強いほど、色が濃く変化します。

尿沈渣( にょうちんさ )

さらに詳しく検査します。

尿を試験管にとり、遠心分離機(毎分1500回転で5分間)にかけて、尿を液体と固体に分ける。試験管の先にたまった沈殿物(尿沈渣)を顕微鏡で調べます。

診断

200倍の倍率で沈殿物を観察し、赤血球や白血球の数を数えます。

赤血球/白血球数 診断
赤血球5個未満、白血球1~2個 正常
赤血球5個以上が持続してみられる 顕微鏡的血尿
白血球10個以上 腎臓や尿路に感染 (このような尿をのうにょう膿尿と呼ぶ)

 

尿は腎臓でつくられます。

腎臓に運び込まれた血液が濾過され、体にとって不必要となった物質を含んだ液体、つまり尿がつくられます。
腎臓でつくられた尿は、腎盂と尿管を通って膀胱にいったん溜められそこから尿道を通って排出されます。

血尿はこの腎臓から尿道に至る経路のどこかで血液が混入したと考えられます。 血尿が出たら、内科か泌尿器科を受診しましょう。
血尿の色によってどのあたりに病変があるか、見当をつけることができます。


真っ赤な血尿で、ほとんど血液そのままの色をしている場合

膀胱の出口に近い部位(尿道や膀胱)などで血液が混入している可能性があります。

茶色っぽい血尿の場合

血液と尿が混ざってから出てくるまで時間がかかるので、腎臓に病変があると考えられます。

疑われる病気
血尿 + たんぱく質陽性 + 高血圧

→急性腎炎・・・糸球体から出血。赤血球の増加。

血尿 + 頻尿 + 排尿痛 + 残尿感 + 尿の濁り

→膀胱炎・・・細菌感染によるもの。白血球の増加。

血尿 + 発熱 + わき腹、腰の痛み + 尿の濁り

→腎盂腎炎・・・細菌感染によるもの。白血球の増加。

血尿 + 腰や下腹部の激しい痛み + 排尿痛

→尿路結石・・・結石によって尿の通り道のどこかを傷付け、血液が混入。
赤血球の増加。肉眼的血尿が起こることもある。
(尿路結石は、結石のある部位によって、腎臓結石、尿管結石、膀胱結石ともいう)

※尿潜血は敏感に反応するようになっているので、陽性でも病気以外による腎臓からの出血も考えられます。ただしガンによる血尿も無症候性の血尿なので注意が必要です。
→ 肉眼ではっきり分かる血尿が2~3回から数日続き、ぱったり出なくなることもあります。必ず最初に血尿が出た時点で、すぐに泌尿器科での検査が必要です。尿中にガン細胞が含まれているかどうかを調べます。

注意

  • 月経中の女性の尿は陽性判定が出てしまうので、検査を延期しましょう。
  • 薬剤を服用していると、赤血球や白血球と混ざって薬品の結晶が検出することがあるので、誤診を避けるためにも、検査前に予め服用している薬剤を告げましょう。
  • 尿を採るときは、中間の尿だけを採るようにしましょう。
  • 尿が古くなると、赤血球が破壊されて潜血反応は陽性になるが、尿沈渣に赤血球がみられないということになります。

来月のテーマは、「出血 ~血便~ -気になるからだの危険信号-」です。