生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
皆さんは、せきやたんがどうして起こるのか知っていますか?
飲み物を一気に飲んだときのことを考えてみて下さい。むせてせき込んでしまったことがあるでしょう。それは、せきによって異物から肺を守っているのです。
もし、せきがなかったとしたら、気管に入った飲み物はそのまま肺に流れてしまうことになります。つまり、せきはからだにとって重要な働きをしているのです。
私たちが吸っている空気には、目に見えない細菌やほこりが混じっています。呼吸をするとそれらも一緒に体内に取り入れてしまっています。
口から取り入れた空気は、肺へ送られますので、細菌やほこりも一緒に肺へ侵入する可能性があります。しかし、人間のからだには、細菌やほこりを取り除く仕組みが備えられてあります。空気が肺へ送られる通り道である気管や気管支の壁は、粘膜に覆われているので、細菌やほこりなどの異物はその壁にくっついてしまいます。そして、気管支から分泌される粘液と一緒に喉頭へ運ばれ、肺へは送られずに食道、胃へ送られて処理されます。
このようにある程度、空気が汚れていても体内で浄化できるようになってはいますが、それ以上に細菌やほこりが多い場合は、粘液の分泌が増えて処理能力が間に合わなくなり、気管や気管支にたまってしまいます。それが気管支を刺激して、せきやたんとして症状に現われるのです。
また、気管支に炎症がある場合も、粘液の分泌が増え、せきやたんを引き起こします。
特徴 | コホンコホンという刺激性が強く、たんを伴わないせき |
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原因 |
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特徴 | ゴホンゴホンというたんのからまったせきが止まらず、何度もせき込む |
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原因 |
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からせきの場合、気道が刺激されやすくなっていますので、薬が必要となります。
湿性のせきの場合は、たんが伴うので効率よくたんが出るようなせきをすることが大切です。
自分の意志で過剰なせき込みを避けて、せきによる体力の消耗を最小限に抑えましょう。
たんが気管支から喉頭へ流れ出ていきやすい姿勢をとることを体位ドレナージといいます。気管支や肺にたんがたまりやすく、苦労する人にとって有効です。
床に座るか、椅子に腰掛けるかして、まず、上体を左右に45度傾け、次に後ろへ30度、前へ45度傾けることを繰り返す。
ひとつひとつの動作は10秒間続ける。
まくらをせずに、あお向けに寝るか、うつ伏せに寝る。
この姿勢を10秒間ずつ交互に繰り返してもよい。
頭をまくらに乗せ、左側を下にした姿勢で横向きに寝て、左肩を軸にして右肩と上体をできるだけ回す。
ついで右側を下にして寝て、同じ動作を行う。
下腹部にまくらを入れてお尻を高くしてうつ伏せになり、腕を組んでその上に額をのせる。
約15度の傾斜をつけたベッドに、まくらをせずに頭を低くしてあお向けに寝て、お尻の下に小さいまくらを入れ、下肢を直角になるように立てる。
約15度の傾斜をつけたベッドに、頭を低くして左を下にした横向きの姿勢で寝て、頭とわき腹の下にまくらをあてる。
これを5分続けたら同じようにして右を下にして寝る。
約15度の傾斜をつけたベッドにまくらなしであお向けに寝て、下半身がベッドから離れないようにして上体だけを左へ回転させ、右肩がベッドから約45度離れるようにした後、元に戻し、次に上体を右へ回転させる。
下半身はベッド上、上半身はベッド外に出し、約45度の傾斜をつけて頭を下げ、床の上で両腕を組んで、その上に額をのせる。初めは1~2分とし、慣れるにしたがって10分ぐらい続けるようにする。
せきは、体内に異物が侵入してそれを体外に排出するために起こっているので、むやみに薬で止めるのはよくないことです。
しかし重症の場合、その他の症状を誘発することもあります。
おおまかには次のように見当つけられますが、最終的には医師に判断をしてもらいましょう。
薬でとめて良くないせき: | 湿性のせき →(気管などに異物が存在している証拠) |
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薬でとめて良いせき: | からせき →(体力を消耗するだけの余計なせき) |
来月のテーマは、「むくみ -気になるからだの危険信号-」です。