健康管理情報

息切れ -気になるからだの危険信号-

2001年2月号
更新)
気になるからだの危険信号

私たちは、息切れを感じると年齢のせいだと考えがちです。
確かに、運動をしたあとは、もっと空気を吸うようにとからだが要求しているために、誰でも息が苦しいと感じるので、問題はありません。
しかし、ふだんの生活でも息が切れる場合は、呼吸器や心臓などの病気が原因であることがあります。
今まで気にとめていなかった息切れを、ここで意識してみましょう。

ガス交換の仕組み

口から吸い込んだ空気は、気管を通って肺に運ばれます。肺の肺胞というところで酸素(O2)を血液中に取り入れて、代わりに血液中の二酸化炭素(CO2)を排出するガス交換が行われます。酸素を受け取った血液は、心臓へ戻って前進へ送り出されます。
つまり、気管や肺、心臓に障害があると、このガス交換がうまくいかずに、息切れを起こすようになってしまうのです。

息切れのチェック

  • 普段の生活では息切れを感じない→ 安全
  • 坂や階段を上がるときに息切れがする→ 要注意
  • 平らな道を歩くと、人よりも歩調が遅れる→ 要受診
  • 平らな道でも、休みながらでないと歩けない→ 要受診
  • 会話や衣服の着脱など、簡単な日常動作でも息切れがする→ 要受診

 

息切れの病気:急性

呼吸パターン:速くて浅い
肺梗塞(※1)、肺水腫(※2)
  • 急に激しい胸痛と呼吸困難
  • 血痰がでることもある

※1 肺梗塞とは
心臓から肺へ血液を送る肺動脈に、血液のかたまりがつまり、肺へ血液が流れなくなった状態。

※2 肺水腫とは
血液中の液体成分が血管の外に、しみ出てしまい、肺の組織に水分がたまった状態。

自然気胸(※3)
  • 激しい胸痛
  • せきが出たり、動悸を感じることもある
  • 20~30歳の背が高くやせた男性に多い

※3 自然気胸とは…
肺に袋状のものが発生し、それが破れて肺がしぼんでしまい、膨らむことできなくなった状態。

肺炎
  • かぜの症状と発熱
  • 黄色い膿のような痰
呼吸パターン:速くて深い(ときに浅くなる)
過換気症候群
  • 理由もないのになんとなく息苦しい
  • 過剰に呼吸をする
  • 若い女性に多く、人前でおこりやすい
呼吸パターン:遅くて深い
気管支ぜんそく
  • 呼吸のたびに、ひゅーひゅー、ぜいぜいという音が鳴る
  • せきとたんをともなう
  • 夜中から明け方にかけて起こりやすい

息切れの病気:慢性

呼吸パターン:速くて浅い
肺線維症(※4)
  • 肺活量が低下して、酸素が不足する
  • 進行すると命にかかわる

※4 肺線維症とは
肺の組織が繊維化してひきつれの状態を起こしたもの。

胸膜炎(※5)
  • 背部の胸痛、深呼吸をすると痛みが強くなる
  • せき、たん、動悸、発熱、悪寒、倦怠感などをともなうこともある

※5 胸膜炎とは
胸膜に炎症が起こり、胸水の量が増えて胸膜腔にたまった状態。

貧血
  • からだがだるく、寒さを感じやすい顔色がわるくなる
呼吸パターン:速くて深い(ときに浅くなる)
慢性気管支炎
  • せきとたんが長期間続く
呼吸パターン:遅くて深い
肺気腫(※6)
  • 息を吸うことはできるが、吐くことが難しいため、口をすぼめて吐くようになる
  • 中年以降の男性に多い

※6 肺気腫とは
肺胞と肺胞を仕切る壁が壊されて、肺胞どうしがくっつき、1つ1つの肺胞が大きくなって酸素が取り入れにくくなった状態。

息苦しいときは腹式呼吸をしてみましょう

腹式呼吸は、最低限のエネルギーで効率の良い呼吸ができるので、気管支炎や気管支ぜんそく、肺気腫などで肺の機能が低下している人は、ぜひマスターしておきましょう。
健康な人が行っても、横隔膜と腹筋が鍛えられて良いです。
腹式呼吸の方法→バックナンバーをご覧下さい。(2000年2月号)

来月のテーマは、「耳鳴り -気になるからだの危険信号-」です。