生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
膝は、私たちの体重を支える重要な役割をしています。「立つ、歩く、スポーツをする」など、日常当たり前のように行う動作ですが、膝には相当の負担がかかります。そのため、膝は大変故障しやすい部位といえます。
膝の関節は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)のつなぎ目の役割を果たし、「関節包」と呼ばれる袋に包まれています。つなぎ目には、「関節軟骨」や「半月板」といった軟骨があり、関節の動きをスムーズにしたり、衝撃を和らげるクッションの役割をしています。「関節包」のいちばん内側の膜(「滑膜」)では、関節軟骨に栄養を供給したり、関節の動きを滑らかにする「関節液」の分泌が行われています。
膝に痛みをもたらす原因は大きく3つに分けられます。
膝の痛みで治療を受けている人の大多数は、この病気が原因となっています。
加齢とともに、膝の軟骨が少しずつ衰え、弾力を失っていきます。そこへ、激しい運動や体重増加などによって、強い負担がかかると、軟骨がすり減っていき、骨と骨が直接ぶつかりあうようになるので痛みが起こります。
年齢が高くなるほどかかる可能性は高くなる
男性よりも筋肉が弱いため、また、女性ホルモンの影響も考えられる
体重の重い人はその分膝への負担がかかり、軟骨がすり減りやすくなる
極端にO脚の人
初期 | ・膝のこわばり、関節が固くなる ・歩行時の痛み |
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中期 | ・膝の腫れ(熱感を伴う) ・水がたまる ・膝の痛み・音がする |
末期 | ・膝の強い痛み ・関節のO脚変形 |
次の式を計算して、標準体重以下に抑えるようにしましょう。
身長(m)×身長(m)×22=標準体重(㎏)
ふだん運動をしていない人が長い間歩くと、膝の軟骨が壊れやすくなります。
階段の上り下りの際には、手すりを使うように心がけましょう。
膝を使わないでいると、筋肉や靭帯が弱くなったり固くなったりして、関節を動かす力が弱まり、痛みが増してきます。
適度な運動を行うことによって膝の組織の新陳代謝を活性化し、病気の進行を抑えます。
膝に熱がある、腫れている、または水がたまっている場合、アイスパックなどで30分くらい冷やします。
毎日おふろにゆっくり入ったり、温湿布などで温めると痛みを和らげるのに大変効果的です。
膝に熱や腫れがあって冷やした後でも、1時間くらいあけて入浴すると良いでしょう。
膝を故障しているときに、「膝に水がたまる」ことがよくありますが、この「水」とは、先に説明した「関節液」のことです。
関節液は関節包から分泌され、通常は1cc以下に保たれています。しかし、膝関節に炎症が起こると、その炎症を抑えるために関節液の分泌量が増えます。
実は、関節液には、「ヒアルロン酸」という炎症を抑える効果のある成分が含まれているのです。関節液が増えると、関節包が引き伸ばされて膝に痛みが生じてきます。これが「膝に水がたまる」状態です。
来月のテーマは、「手足の痛み・こわばり -気になるからだの危険信号 痛み-」です。