健康管理情報

自然治癒力を高める心のもち方

2000年3月号
更新)
自然治癒力を高める

「心身一如」という言葉を、ご存知でしょうか?これは、心とからだの関わりについて、表現したものです。 「心身は一の如し」つまり、”心とからだは一つにつながっており、互いに深く影響しあっている”という意味を表しています。
今回は、心とからだの関係についてご説明します。

心とからだを結ぶルート

神経系
働き
体性神経 自分の意志で動かすことができる神経。
刺激や知覚を脳に伝える機能と、
それに対して手や足などからだの各部分を動かす機能をもちます。
刺激→ 痛い
知覚→ 暑い、寒い
行動→ 食べる、見る、話す、歩く
自律神経 自分の意志とは無関係に、自動的に刺激や情報に反応して、
その状況にうまくからだを適応させるように、
からだの機能をコントロールしています。
運動に対して脈拍が速くなる。
気温に対して体温を調節する。

 
自律神経には交感神経と副交感神経があり、お互いに働いたり休んだりしてバランス良く機能しあって調節されています。

交感神経と副交感神経の働き
器官 交感神経 副交感神経
瞳孔 拡大させる 収縮させる
唾液腺 量が少なく、濃くなる 量が多く、薄くなる
気管 広げる 狭める
心臓 脈拍が速くなる 拍動が遅くなる
冠動脈 収縮する 拡張する
血圧 上昇する 下降する
胃腸 活動を抑制する 活動を促進する
消化管 消化液の分泌を抑える 消化液の分泌を高める
胆のう 胆汁の分泌を抑える 胆汁の分泌を高める
膀胱 開く(閉尿) 収縮(排尿)
皮膚立毛筋 収縮(鳥肌が立つ) ゆるむ
汗腺 汗が濃くなる 汗が薄くなる
呼吸運動 促進する 抑制する

 

私たちのからだは、体外の環境の変化や刺激(ストレス)に対して、常に安定した状態を保つ機能(ホメオスターシス)が備わっています。
しかし、強い身体的・精神的な刺激を受け、負担が大きすぎて自分の中で処理し切れなくなると、自律神経のバランスが崩れて、からだにさまざまな症状が現れてきます。

ストレスと抵抗力の関係
1期 警告反応期

ストレスを受けて症状が現れても、抵抗力で元に戻ろうとする。

2期 抵抗期

ストレスを受けているが、まだ抵抗力があり、かろうじて持ちこたえている状態。

3期 疲憊(ひはい)期

慢性的なストレスによって抵抗力が失われ、抵抗できなくなった状態。

  • 心に症状が現れると… 精神障害、ノイローゼなど
  • からだに症状が現れると… 心身症(胃潰瘍、高血圧など)
  • 行動に症状が現れると… 自殺、家庭内暴力など
心身症とは

ストレスなどの心因が引金となって起こる病気の総称。
胃・十二指腸潰瘍、高血圧、不整脈、糖尿病などがあります。

 
このように心とからだは切っても切れない関係にあります。
同じストレスを受けても人により、心に症状が現れる人、からだに症状が現れる人、行動に症状が現れる人、差があります。

来月のテーマは、「自然治癒力を高める心のもち方Ⅱ」です。