生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
秋の装いからだんだんと空気が乾燥し、肌寒くなってきました。これからの時期は、ノロウイルスをはじめとした「感染性胃腸炎」やインフルエンザ、RSウイルス感染症のような「呼吸器感染症」が流行し始めます。
今回は、早めの対策と予防習慣を身に付けて、『感染性胃腸炎』を防ぎましょう。さらに、今から抵抗力をつけるためにおすすめレシピもご紹介します。
感染性胃腸炎(ウイルス感染症、細菌性胃腸炎)など
細菌やウイルスに感染し、発熱、下痢、腹痛、悪心、嘔吐などの胃腸炎の症状を来します。
呼吸器感染症(インフルエンザ、RSウイルス感染症)など
喉や気管支、杯などの呼吸器に、細菌やウイルスが入りこみ、炎症が起こり咳や痰、発熱、呼吸困難などの症状を来します
冬は、気温が低く空気が乾燥しており、まさにウイルスにとって最適な環境なのです。空気が乾燥するとウイルスそのものの水分が蒸発して、ウイルスは身軽になるため空気中に浮遊しやすくなります。
さらに、寒さによって私たちの体温が低くなり、代謝も落ちやすくなります。それに伴って、免疫を司る腸の働きもダウンし、免疫力も低下しやすくなります。また、空気が乾燥すると鼻や喉の粘膜も乾燥しやすくなり、第一の防御機構である部分が弱まるため、ウイルスなどに感染しやすい状態になってしまうのです。
口から侵入した細菌やウイルスなどが原因となり、嘔吐や下痢、発熱などの症状が現れます。感染性胃腸炎と診断される原因には、大きく分けて2つありウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎があります。冬にかけて増加するのがウイルス性胃腸炎で、有名なものにはノロウイルスやロタウイルスがあります。特に、冬の初めにノロウイルスが流行し、入れ替わるようにロタウイルスが流行します。細菌性の場合には、抗菌薬を服用することもありますが、ウイルス性の場合には特効薬はないため、ウイルスが完全に排泄されて自然治癒を待ちます。
病原体によって異なりますが、一般的な症状は嘔吐、下痢、腹痛、発熱です。子供の場合には、痙攣を起こすこともあります。
ウイルス性胃腸炎の場合には、症状が出てから5~7日程度で自然と治まっていきます。しかし、たぶん胃腸炎だから自然と治るだろうと安易に考えず、嘔吐や下痢が数日以上続いている、あるいは、38度以上の高熱が出ている場合などは、早めに医療機関を受診しましょう。
感染性胃腸炎の中でも非常に感染力が強く少量のウイルスでも感染し、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で急性胃腸炎を引き起こします。ノロウイルスは牡蠣などの二枚貝などに蓄積しやすく、ノロウイルスが蓄積した貝を食べることで感染したり、感染した人の嘔吐物や排泄物とともに排泄されたノロウイルスが手指や食品などをを介して口にはることによって起こります。
強烈な吐き気や嘔吐から始まることが多く、下痢などの症状が突然起きるのが特徴です。一度かかっても何度も感染する可能性があります。特に、学校や職場など集団生活の場で流行し、集団発生することがあるため早期の対応が最も重要です。
乳幼児をはじめとした子どもにかかりやすい傾向にあり、急性胃腸炎を引き起こすウイルスです。主な感染経路は、排泄物に含まれるウイルスによるもので、手洗いを行ったとしても手や爪などにごくわずかでも残っているだけで感染してしまいます。ノロウイルスと同様、感染力が非常に強く、ごくわずかなウイルスが体内に入るだけでも感染してしまいます。
白色ですっぱい匂いがあり、水っぽい下痢が大量に出たり、嘔吐などが1週間ほど繰り返し続きます。発熱や腹部の不快感などもみられます。一般的に、5歳までに1度はかかるともいわれており、大人も感染することもありますが、過去に感染していることが多く、ほとんど症状が出ないことが比較的多いとされています。しかし、乳幼児で初めて感染すると重症化しやすく、脱水症状がひどい場合には入院治療が必要になることもあります。
このように感染力の強いウイルスに負けないためにも、日頃から生活習慣を整えて抵抗力をつけておくことが非常に大切です。感染予防のために意識したいポイントを解説します。
外出時には、不織布マスクを鼻の上からアゴの下まで覆い、隙間を作らないように装着しましょう。また、捨てる時はゴム紐を持ち、表面に触れないように捨てましょう。
食事の前やトイレの後など、うがいと石けんを使用したこまめな手洗いを行うことも大切です。うがいは、まず口をブクブクとゆすぎ吐き出します。その後、のどの奥をふるわせるようにしましょう。
手洗いは、15秒程度かけて指の間や手のしわなどをしっかりとこすり洗いをし、流水で15秒以上すすぎましょう。さらに、手を拭く際の注意点として、タオルを共有しないことも大切です。
冬場は空気が乾燥しやすくなります。空気の乾燥から守るためにも、こまめな水分摂取と室内の湿度管理を行いましょう。うがいやマスクをしてのどを保湿することも大切です。室内では、定期的に換気を行いながら、加湿器や濡れタオルなどを上手に活用して、適度な湿度を保つようにしましょう。
就寝中に、細菌やウイルスに対する抵抗力が維持・強化されています。就寝中に成長ホルモンが分泌され、傷んだ細胞の修復と疲労回復させる働きがあります。
睡眠の質を高めるために、食事はできるだけ寝る3時間前までに済ませることや38~40℃のぬるめのお湯に浸かりましょう。
体温が下がると血流が悪くなり、抵抗力も落ちやすくなります。温活アイテムや食べ物の性質を活用して、カラダを芯から温めましょう。
効率のよい冷え対策は、手首、足首、首の3つの首を温めることです。この3つの首は皮膚が薄く、太い血管が通っている場所でもあるため温めると熱をから全体に行き渡らせることができます。洗面器などを利用して、足湯や手湯をするのもおすすめです。
温かい食べ物はもちろんのこと、カラダを温める食材や栄養素、スパイスを活用して、血流をよくすることで内側から温めることができます。東洋医学の考え方で食材には、カラダを温める性質のものがあります。
代表的な食材は、土の中に向かって育つ人参、ゴボウ、レンコンなどの根菜類、かぼちゃ、生姜、玉ねぎ、にんにく、ニラ、発酵食品などがあります。簡単にまとめると、寒い地域で作られるものや旬を迎えるもの、そしてオレンジや黄色などの暖色系のものに体を温める作用が多い傾向にあります。
かぼちゃ ……100g
れんこん ……50g
人参 ……1/4本(約20g)
玉ねぎ ……1/4個(約50g)
ぶなしめじ ……30g
豚バラ薄切り肉 ……80g
万能ねぎ(小口切り) ……4本分
生姜 ……1/2片
味噌 ……大さじ2
和風顆粒だし ……山盛り小さじ1
水 ……2と1/2カップ
ごま油 ……小さじ1
七味唐辛子 ……お好みで
豚肉とかぼちゃは一口大、レンコンと人参は厚さ3㎜のイチョウ切り、玉ねぎを薄くスライスする。
鍋を中火で熱しごま油をひき、豚肉を入れて炒め、軽く炒めたらかぼちゃ、レンコン、人参、玉ねぎも加えて炒める。
②に水、和風顆粒だし、生姜をすり下ろして加え、煮立ったら火を弱め5分程加熱する。
火を止めて味噌加えて完成。器によそり、万能ねぎをちらし、お好みで七味唐辛子をかける。