生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
みなさんは冷たいものや辛い物を食べすぎたためにおなかの不調を感じたり、原因はわからないけれど下痢や便秘になった経験はないでしょうか。
今回は、様々な要因で引き起こされる「便秘と下痢」のメカニズムや原因、そして、それらを未然に防ぐためのポイントと腸内環境を整える食品についてご紹介します。
・便秘とは、3日以上便が出なかったり、大腸内で水分が必要以上に吸収され、便が硬くなり排泄量が少なく残便感がある状態のことです。腹痛、腹部膨満感、食欲不振などの症状もあらわれます。
・下痢とは、大腸の働きが異常な状態になり、大腸内で水分の吸収のバランスが崩れ、便中の水分量が増加し、液状や泥状の便が排泄される状態です。
どちらも一時的に起こり、食生活や生活習慣を整えることで改善することもあります。長期間継続する場合には、便秘や下痢を伴う疾患も考えられます。
大腸では、未消化物の水分や一部のミネラルを蠕動運動により吸収し、便を形成します。しかし、蠕動運動の動きが低下すると、便が大腸を通過する時間が長くなるため、水分量が増加し、便が硬くなります(便秘)。一方で、蠕動運動の動きが活発になると、大腸の通過時間が短くなり、水分が十分に吸収されず、水分を多く含んだ柔らかい便になります(下痢)。
便秘
◆機能性便秘:排便の機能が低下して、回数の減少や困難が起こる便秘
・大腸通過遅延型・・・原因のはっきりしない「突発性便秘」、糖尿病や慢性腎不全、脳血管疾患、うつ病などの疾患による「症候性便秘」、向精神薬やコリン薬などの副作用による「薬剤性便秘」がある。
・大腸通過正常型・・・食物繊維摂取不足や過度なダイエット、朝食欠食などによる便の回数や量の減少による便秘
・便排出障害型・・・便が直腸まで下りてきているのにスムーズに排泄できずに起こる便秘。便が硬くいきまないといけない、残便感があるものと排便に関わる筋肉の低下により排出できないものがある。便意を我慢してしまう人やトイレライムを維持できない人になりやすい。
◆器質性便秘:腸の炎症や腫瘍、閉塞などにより起こる便秘
下痢
◆急性下痢
・浸透圧性下痢・・・食べすぎや過度なアルコール摂取などの食習慣により腸への負担が大きくなり起こる下痢。
・分泌性下痢・・・食中毒や吸収しにくい植物性脂肪の摂取などにより腸管内の分泌液が過剰となり起こる下痢。
◆慢性下痢
・滲出性下痢・・・潰瘍性大腸炎やクローン病などの腸の炎症により水分吸収能力の低下や血液成分や細胞内の液体の流出によっておこる下痢。
・蠕動運動性下痢・・・ストレスや何らかの疾患などにより蠕動運動の亢進と低下が起こることによる下痢。
①食事をバランスよくとる!
1日3食規則正しく食べましょう。さらに、腸内環境を整える食品を意識して摂取することがおなかの不調の予防につながります。
腸内環境を整えるためには、腸内細菌のバランスが非常に重要です。
外食や中食をする場合は、野菜の量を意識し、偏食せずに様々な種類の食材を選ぶようにしましょう。
◎腸内環境を整える3つの腸内細菌
健康のためには、以下の3つの最近のバランスが重要です。
・善玉菌・・・腸の働きを活発にし、菌による感染を予防する
・悪玉菌・・・食生活の乱れやストレスにより増え、便秘や下痢の原因になる
・日和見菌・・・善玉菌と悪玉菌の優勢な方の味方に付き、同様の働きをする
★黄金比 善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7
◎善玉菌を増やして日和見菌を味方につける
腸内環境を聞くと発酵食品をイメージする方が多いと思いますが、乳酸菌など菌そのもの(プロバイオティクス)だけでなく、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖(プレバイオティクス)を一緒に摂ることで、より腸内細菌の増加と定着が促進され、バランスのとれた腸内環境になりやすくなります。
〈プロバイオティクスとプレバイオティクス〉
プロバイオティクス:生きたまま腸に届く体に良い働きをする善玉菌やそれを含む食品(味噌、納豆、ヨーグルトなど)
プレバイオティクス:腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖を促進する成分や食品(りんご、キノコ類、海藻類など)
②十分な睡眠をとる!
腸の働きは自律神経によってバランスを保っています。睡眠不足が続くと自律神経のバランスが崩れ交感神経が優位になり、腸の蠕動運動の働きが異常となってしまうため、便秘や下痢の原因につながってしまいます。寝る前には液晶画面を見ないようにする、暖色系の照明にするなど副交感神経を優位にする環境を整え、睡眠の質を高めましょう。
③適度な運動を行う!
何気なく排便しているつもりでも実は筋力がなければ排泄はできないのです。デスクワークや運動習慣がほとんどない人は腰や腹部の筋肉が弱まり、便を排泄する力がなくなってしまします。お腹周りを動かすストレッチをしたり、意識的に歩くようにしましょう。運動によってお腹周りの筋肉が刺激されて体内の血液循環が良くなり、腸の蠕動運動も活発になります。
ご自身や周りの大切な方のために、健康管理の正しい知識を身につけて、健康で輝く未来を創りましょう♪
<下記のURLで概要をチェックしてみてください>