生活習慣病を予防する特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
現代人にストレスを強く感じている人が多いのは、運動不足が原因だそうです。
「運動不足ではなく、仕事の忙しさに疲れているんだ。」「部下がいうことを聞かずに、すぐイライラしてしまうだけだ。」などという人がいますが、これらも運動不足からきたストレスです。
仕事や人間関係などで、脳はフル回転で働いているのに比べ、体を動かすことは少なくなってきています。そのため、1日の終わりには脳に疲労がたまっているのに、体は疲れていないという疲労のアンバランスが生まれます。
活力ある毎日を過ごすには、運動は欠かせません。運動は、健康面のみならず精神面にとても良い影響を与えます。
今回はその運動の効果についてお話します。
運動は、脳だけではなく、私達の気持ちや感情にも直接的に変化をもたらします。その1つが「気晴らし効果」です。
例えば、運動選手は激しいトレーニングを続けながら、落ち込んだ気分を引きずることはありえないといいます。
これは、スポーツ選手がある目標に向かってトレーニングをすることに集中し、落ち込んだ気持ちや不安などを捨て去っているからです。
何かしらのエクササイズに取り組み、その時間はその運動に集中することによって、嫌な考えや気持ちを忘れることができます。
また、運動には「自信回復効果」もあります。
これは、運動を行うことによって、満足感や達成感などの快感が得られるためです。「前よりも速く走れるようになった」「体が軽くなった」など変化を感じるようになれば、なおさら快感も強くなるはずです。
そうすることで、自分にも自信がもてるようになり、自然と気持ちも明るくなってきます。
人間の体は、体が温まることによって筋肉の緊張がとけたり、リラックス時に働く副交感神経が働いたりするためと考えられています。
これは入浴に似ている効果なのですが、体が温まると気分が良くなり、ストレスが軽くなることがあります。
運動は脳と体の疲労のアンバランスを解消し、睡眠障害を改善する効果も期待できます。睡眠は、1日のストレスをリセットさせる大切な習慣です。
しかし、運動不足で血行が悪くなると、血液中に疲労物質の乳酸がたまりやすくなります。乳酸には神経を高ぶらせる作用があり、睡眠を妨げる原因になるのです。
では、ストレスを解消したり、ストレスに強くなるには、どんな運動が良いのでしょう?
次の4つのポイントを取り入れて、自分にあった運動を楽しんでみましょう。
ジムのように、いつも同じ壁を見るだけの運動では飽きてしまいます。ウォーキングやサイクリングなど、空間を移動する運動を組み合わせてみましょう。
空間移動で快感やドキドキをたくさん体感することが、ストレスで疲れた心を再び元気にさせてくれます。
最適な運動強度や時間は、体力や年齢、性別によってさまざまです。他人が勧める運動が、必ずしも自分に合っているとは限りません。
疲れる、飽きるという感じ方は、見直しのサインです。強度や時間を変えるか、違う運動に変えてみましょう。
ダイエットや競技のための運動なら、辛さを乗り越えることも大事ですが、ストレス解消には、不快な感情はNGサインなのです。快感を毎日感じられる運動をすることが大事です。
一定のリズムを繰り返す運動をすると、心の安定をはかる脳内ホルモン「セロトニン」の分泌が高まります。
特に、ウォーキング、ジョギング、サイクリングのような一定の動きを繰り返す運動は、セロトニンの活性に適しています。
また、意識して行う呼吸法もリズム運動の1つです。ストレッチやヨガは呼吸法を取り入れているため、これらもセロトニンの活性化が期待できます。
1日20~30分でも、時間を確保して運動しましょう。時間がないと「ながら」で運動すればいいだろう、と思いがちです。
しかし、運動は、筋肉の動きや呼吸、リズムを意識して行わないと、運動効果や快感の感じ方が薄くなるため、しっかり時間を確保した方が良いでしょう。
また、やる気が出ない人は、「孤独な運動」になっていませんか? 同じ運動をやる人と交流したり、同じ位の体力の人に交ざってやる方が、やる気が持続しやすくなります。スポーツクラブやサークルに加入したり、運動イベントに参加してみるのも良い方法です。 ストレスに負けず元気に過ごすには、運動やスポーツは欠かせないということですね。ストレスがたまっている人は、運動で解消してみましょう。
自転車は、「買い物に利用する程度」という人が多いそうです。
しかし、「そういえば、最近乗ってない」という人も、「毎日自転車で通勤している」という人も、自転車がエクササイズになることをご存知でしょうか?
来月のテーマは、「音楽 ~ストレス解消法~」です。